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クートラス展

 

 

『(・・前略)

ティエールの町やクレルモン・フェランの町を見せたいと、

そこにはフランス人が大概なくしてしまった

ご先祖様が生きているからと言っていた。

この地方のロマネスクの教会の中で出会う、

柱の上の高い所に、

悪徳や美徳を表現する為に彫り出された騎士達や、

農作業に励む人達の顔には、

なんだかずっと昔の日常が溢れている。 

誰が作ったのかと問われることもなく、

そのもの自体で生まれて年老いて美しくなっていく作品を

クートラスは好きだった。

だから自分でもそういう作品を作りたかった。

僕の作品は歴史のページをめくるものじゃないかもしれない。

でもどんな世の中にあっても、たとえ僕は忘れられても、

僕の作品を好きな人は必ず見つけてくれて、

愛してくれるってことだけは確かだよ、と言っていた。』

 

 

『クートラスの思い出』 岸 真里子・モリア 著 より

 

 

 

クートラスの作品が語りかけてくる何かが

僕はとても好きです。

実物は本で見ていたよりももっと素敵でした。

 

春までまだ大山崎美術館で逢えるので、

せめてもう一度は

逢いに行こうと思っています。

 

 

 

「開館20周年記念 ロベール・クートラス
僕は小さな黄金の手を探す」展
アサヒビール大山崎山荘美術館(京都)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| - | 10:44 | - | - |
夢見の家 10

 

昨年の暮れに無事に竣工し、

お引き渡しすることができました。

施主施工の壁面和紙貼り部分を

一部残していますが、一通り完成です。

 

櫛谷建築の皆さん、ごくろうさまでした。

手のかかる作業の多い仕事でしたが、

最後まで丁寧に造っていただき、

どうもありがとうございました。

 

 

工事前(before )と竣工後(after)を

見比べつつ、全体を振り返ってみたいと思います。

 

 

【1階廊下】 

中廊下でありながら、

L字型に座敷二間を囲むように配置された廊下が

印象的で、改修後もそれは変わっていません。

各部屋への開口部の大きさや形状が変わり、

傷んでいた床・天井の仕上げが変わりました。

 

before

 

after

 

左手階段下収納は襖から目板格子戸に、

右手は障子から筬格子戸に変わりました。

以前は少なかった壁も増やして、構造補強されています。

正面の壁面への側面からの光は以前から変わらず印象的です。

ここの壁面はあとから和紙貼りで仕上られます。

 

 

【1階DK】 

元はタイル貼りの流しや吊り戸棚が風情のある厨房でした。

後から増築されたらしい南側のダイニング部分は

屋根の形状・納まりに不具合があり、

構造補強も兼ねてこの部分を大きく改修しました。

 

before

 

タイル貼りの流しはかわいいのですが

使いづらかったようで、右側に新設のシステムキッチンがありました。

左手に勝手口がありました。

 

 

三方の垂れ壁には

吊り戸棚がありました。今回、建具を再利用しています。

 

 

【南側ダイニング】

かつてはここにお風呂があったようで、

複数回の増改築の痕跡があった場所です。

周囲を家に囲まれた中では、

最も奥行きのある庭に面した南側なので、

1階の部屋では一番日当たりがよい場所でした。

 

after

 

ステンレス天板のキッチンを新設し、

吊り戸棚を2面に再生しました。

中央にはカウンターを新設。

カウンター天板には

座敷で使われていた栃の無垢板を再利用しました。

 

 

元のダイニングとの境は

梁をかけなおして既存柱を撤去。

キッチン寄りにカウンターを設置して、

空間を繋いで広げました。

勝手口だったところにはガラス戸入りの収納を設置。

柱がなくなったので、

カウンターの手前、天井が低くなった部分に

ダイニングテーブルを置けます。

 

 

元ダイニングの上は

ガラス屋根に架け直して、

2階の部屋と繋がる吹き抜けにしました。

 

ダイニング部分をキッチンと繋ぐことができたので

ここはソファを置いてくつろげるスペースになりました。

庭の緑を見ながらの食事ができ、

たっぷりの自然光に満ちて高さもある、

気持ち伸びやかになる空間です。

 

ガラス屋根下には

取り外し式のスダレ建具をつけてあるので、

夏場の日射をある程度防ぐことが出来ます。

 

 

【階段】

古い家に多い、勾配の急な階段でした。

1階の床を一部上げ、勾配もゆるくしました。

 

before

 

 

2階からの見下ろし。1階は玄関の2帖の間です。

 

after

 

1階の1帖分の床を上げました。床板は松の古材。

階段の上に新たな開口を設けて、自然光を導きいれています。

閉塞感がなくなって、光と気が廻ります。

 

 

【1階座敷 → アトリエ】 

元々二間続きの座敷でしたが、

以前の改修で北側の部屋は板の間になり、

半分のスペースにユニットバスとトイレ・洗面が設置されていました。

座敷はそれなりに趣のある造りでしたが、

開口を二面に広く取りすぎていたために

隅柱に荷重が集中し、沈下していました。

同様に廊下の続きの内縁も柱が少なすぎて上部が下っており、

又開口高さがありすぎて、周囲の家の開口と重なって

お互いの視線が気になる状況でした。

 

before

 

南側座敷から庭を見たところ。

正面に2間の開口がありました。右端が沈下していた柱。

 

 

同座敷から西側を見たところ。

こちらも当初は2間の開口があったようですが、

後から開口の中央に補強柱を立てて右半分を壁にしてありました。

 

 

【続きの間】

左手が水周りの入った部分。

元ダイニングが日当たりがよかったので、

お風呂をこちらに移したようですが、

座敷との繋がりが無いスペースになっていました。

 

 

after

 

元の続きの間から南側を見たところ。

二室を繋いでアトリエに、というご希望があったので、

水周りを移動して、スペースを空けました。

正面内縁の開口は高さを下げたので、

隣家の開口が見えなくなり、

視線は自然に庭の緑に導かれるようになりました。

緑の背景には既存板塀を造り直して、焼き杉板の板塀を設置しました。

 

 

南側の2間の開口は少し狭くして、隅柱は太い柱に差し換えました。

左手の元の床の間だった箇所に壁を設け、そちら側をトイレにしました。

 

 

西側も開口幅は狭めましたが、引き込み障子なので全開放出来ます。

南側の障子は外して収納できる場所を設けたので

こちらも全開放が可能です。 

障子は両面に和紙を張った太鼓張り障子。床はわびすけ塗り。

ここの壁は施主施工の和紙貼りになります。

 

 

【2階寝室】

元は押入れ付の4帖半和室でした。

当初、収納にする話もあったのですが、

それにはもったいないほどの日当たりのよさだったので、

こじんまりとした居室にする方がよいと考えました。

 

before

 

after

 

押入れを撤去して、

奥にハーフユニットの浴室を設置、手前を寝室に。

問題のあった屋根をガラス屋根に架け替え、

吹き抜けを介して1階と繋がるようにしました。

西側の部屋ですがガラス屋根を介して

朝日が射し込んで、壁を明るくしています。

吹き抜け側にはベンチを設け、洗面も設けました。

 

 

ベンチの上には障子が設けてあって、

吹き抜け側を閉じることも出来ます。

ガラス屋根のすだれ建具はここからつけ外し可能。

1階の開口部とこの部屋の北側の窓を介し、

温度差による自然通風で

換気出来るようになっています。

 

 

【2階和室】

元々造りのよい座敷でしたので

ここは原形のまま残そうということになっていました。

ですが、下階柱が沈んだ影響で床がかなり歪んでいました。

 

before

 

<床の間周り>

ほとんどこのままの形ですが、

今回、耐力壁にしたため書院がなくなりました。

また、壁仕上げは漆喰コテ押さえから白土塗りに変えました。

 

 

<南および東開口部>

内縁の外部開口は南、東ともに2間半あり、

かなり垂れ下がってしまっていたようで、

鴨居下に補強束が立っていました。

 

また、

かつてはここから賀茂川や比叡山、

送り火の大文字などが見えたようですが、

今では周囲に建てこんだ家の開口と重なって、

双方の視線がぶつかって気になる状態を生んでいました。

 

after

 

<床の間周り>

白土塗り仕上げに変って、

少し雰囲気が柔らかくなりました。

 

 

<南および東開口部>

東側は開口幅を半分にして収納を設けました。

畳を交換し、雨漏りで傷んでいた天井板を新しくしました。

竿縁、周り縁はもとのままです。

 

 

内縁外側は柱を立て直して、

軒桁をきちんと受けられる架構にあらためました。

開口高さも低くし、

幅広の上げ下げ障子を設置して

隣家開口からの視線とぶつからないようにしました。

無意識のうちに気になっていたことがなくなり、

障子越しの光もやわらかく、雰囲気が随分落ち着いて、

居心地のよい場所になりました。

架構をあらためたことで、

沈んでいた床などは元通りに戻りました。

 


【2階続きの間】

こちらも開口の正面に隣家のベランダがあって、

双方開放しきれない状態でした。

入母屋屋根の隅などから雨漏りして

一部天井に傷んだ跡がありました。

 

before

 

after

 

和室から板の間に。

外部開口も絞り込んで

隣家開口と位置をずらしました。

 

 

天井を取り払い、屋根勾配なりのラワン合板張り。

屋根上のテラスへ続く階段を設置。

地回りに補強梁、火打ち梁などを設置しました。

 

 

座敷との間は壁を設置。

ある程度の通風が出来るように無双格子入りの建具を

はめこんであります。

 

 

にじり口のような戸をあけると空の下、

屋上テラスへ。

ここからは比叡山や送り火も見えます。

かつて、

この家が工夫を重ねて

開口を大きくとって得ていた眺めは

周囲の環境の変化で失われましたが、

ここで形を変え、あらためて眺めが得られました。

 

それは同時に、

この家がかつて見た夢を

また新たな形で引き継ぐことのような気がします。

今回新しく生まれた夢とともに。

それは、別の言葉にすると

家を生きさせる いのち、とも言えるのかもしれません・・。

 

 

【外部】

大きく印象が変わったのはDKの外部と南側でしょうか。

 

<DK外部>

before

 

多分、以前の増築によるものと思いますが、

屋根のかかり方がおかしなことになっていました。

 

after

 

屋根を整理して2階の窓前までの片流れに。

天窓を設けて1階と2階への採光に。

 

<南側>

before

 

開口を大きく取りすぎたための軒の垂れと

その補強の添え柱が外部に付けられていました。

 

 

柱を建て直して、

周囲の窓とかちあわないように開口を整理し、

無理のあった庇はなくしました。

 

 

 

・・そういえば、

お引き渡しの日は、

ちょうど一年前、お施主様がうちの事務所に

初めて訪ねてこられた、まさにその日でした。

不思議な偶然、ですが、

何か大きな流れにのって、

こと や 場 が出来上がり、成就するときには、

それがこのように意味や縁のある日に重なったりするような、

しるし のようなものが顕れることが多いように思います。

 

 

この家での

新しい生活が活き活きとして、

楽しみと喜びに満ちたものになりますように。

 

 

 

< 前回

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 『 夢見の家 』 | 18:52 | - | - |
2017年 はじまり

 

2017年、始まりました。

皆様お元気でお過ごしでしょうか。

 

 

仕事始めは

昨年末から開始した実測調査の続きより。

京都の街中、周囲を隣家に囲まれた中で、

こじんまりした四合院、みたいな坪庭を抱えた町家。

 

調査を始めると、

これまでに何度も増改築を経てきた跡が見えてきました。

まさに発掘調査のように、

例えば2階の床を開けると、

地層のように重なった増改築の跡が発見されます。

で、先人の考えた後を辿って

その形、その架構になった理由を推理してみるのも

なかなか面白いです・・。

 

 

こちらも年末から

工事の始まっていた L'atelier de céramiste の2期工事。

現場が進行中。

 

 

年末にお風呂を直して、

作業場外側の下屋を架けなおしています。

 

 

庭にあった石を据えて、

ひかりつけた柱。

 

新年の澄んだ日射しの中に

新しい柱が立つ姿が清々として爽やかでした。

 

 

他にもいくつか進行中。

これから本格的に始動して行きます。

 

 

年末には

無事に『夢見の家』も竣工しました。

去年竣工まで書けなかった『吉川の古民家』

またあらためてアップしていきます。

こちらは春には菜食料理のお店としてオープンの予定。楽しみです。

 

 

皆様、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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