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現場では
茅葺工事が完了しました。
裏の土手に上がってみたところ・・
美しいです。
たっぷりとしています。
瓦屋根はカットして、
位置を控えたのですが、
葺き下ろしてみると結構壁際まできました。
しかし、雨が中に入る心配はないので
これでもう大丈夫。
仕事中もそうでしたが、
出来上がった茅葺屋根には
見飽きない、おおらかな美しさがあります。
そしてまた、
どこか生き物のような、小山のような感じ、
生きているような気配。
屋根の窓も
自然なラインで美しくよみがえりました。
窓下には杉皮を葺いてあります。
しっかりと叩き込まれ、
刈り込まれて生まれたゆるやかな曲面。
この小口の上を雨粒が
はじかれるように流れ落ちてゆきます。
軒先はこんなに分厚くなっています。
きれいに刈り込まれてラインが出ています。
側面のまだ葺き変えていない屋根とも
グラデーションで馴染ませてあります。
奥の隣家の茅葺屋根と
仲良く馴染んだ風景。
正面からは
この葺き変えた屋根が見えないのが残念ですが、
またお店がオープンしたら皆さん、
ぜひ裏に回って見てみてください。
その際には店主の坂口さんにも一声かけてくださいね。
今回、屋根葺きを手伝われたので
貴重な体験談も聞かせてくれることと思います。
屋根を葺いてくださった くさかんむりさん、
素晴らしい仕事をありがとうございました。
どうもごくろうさまでした。
屋根の下のほうでは
改修工事が進んでいます。
今まで閉じられていた壁面が
開かれて開口に。
数十年ぶり、
土間に射し込む光と風の流れ。
柱の差し換えも完了しました。
新しくなった茅葺屋根の軒裏。
明るくなりました。
今まで竹が使われていた垂木は
今回、本来そうであったであろう、
丸太に改められました。
木のくせか、随分曲がった柱。
外壁に新しく出来る開口の確認。
朝の光を内部に導いて、
気持ちを新たにしてくれる大切な窓になるでしょう。
工事は又少しずつ進んでいきます。
つづく >
< 前回
現場では
茅葺屋根の葺き替えが進んでいます。
なかなかの壮観!
下から随分進みました。
瓦屋根部分とも切り離されました。
これでようやく一安心。
屋根の下には足場が組まれ、
舞台のような場が出来ています。
そこに材料のわらが積み上げられています。
背丈ほどもある長さです。
今置いてあるのはススキ。
この辺りの山にも自生していて、
茅葺屋根の材料として使われてきました。
中のほうには小麦わら、そして葦も使っています。
今回は葺き替えしない上の萱部分(ありごし)を
丸太で上げた隙間へ向けて、
穂先を中に差込み、
束を重ねて厚みを出していきます。
足元の板と同じくらいの厚さまで重ねていきます。
中のもやに針金などで固定されて
少しずつ上に進んでいきます。
表面に出てくるのは茎の小口面だけなので、
進む範囲はわずかずつです。
手前に見えているのは
針金やなどを屋根の裏に刺し込む
縫い針のような働きをする鉄製の専用道具。
職人さんの実家の鉄工所であつらえたそうです。
親方の相良さん曰く「ドイツ風」の茅葺窓。
ー相良さんは現地に行って
茅葺の研修を受けたり、指導したりもしていて
ヨーロッパの茅葺屋根も研究して、
葺き方の改良を独自に重ねられています。
窓の形状があらかた葺き上がって来ると、
木の板で叩き込んで形を整えていきます。
こんな道具です。
堅木のケヤキ製ですが・・・
こんなに磨り減っています。
入りすぎたら、鉄のはさみで引っ張ります。
閻魔さまの使っているような道具(笑)です。
最近の建築の工事現場にはめずらしく、
機械工具の音が一切しません。
作業から聞えてくるのは
乾いたススキの束がこすれるかさかさという音や
それを束ねたり放り投げたりするときのバサっという音、
ススキを叩き込む音などの
軽やかで おだやかで のどかで
平和を感じさせるような音・・・
独特の稜線の美しさ
中世の絵画のような光景にも見えます。
茅葺屋根は
目に見えるスパンで起こる循環や
それをかたちにする人力の作業、
そしてそれらを支えている
もっと大きないのちの循環をも含んで現れた 姿 として、
存在している ということを
この作業をみている時間の間、
無意識のうちに感じていたかのようで、
その関りあいのありようから感じる、
ことばにならないような幸福感
に、知らぬ間に満たされていたひととき、でもありました。
つづく >
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