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現場では
解体から補修へと工事が進んでいます。
前回の隅柱は
無事に新しいケヤキの柱に差し替えられました。
周囲の傷んだ土台なども交換されています。
上部梁の腐朽部分も取り除かれて
新しい材で埋められました。
さすも束で受けて、ちょっと楽になりました。
母屋と平屋の接続部分屋根も
新たに架けなおされました。
無理のかかっていた部分がなくなって
すっきりしました。
屋根の上のほうも
切り離された瓦屋根のけらばのしまいが済みました。
板金を雌瓦の下に差し込んで・・
雨が入り込まないように、
立ち上がりを造って止めています。
現場でうまく納めてくれました。
これで一安心。
新たになった部分から母屋の方をみたところ。
大分雰囲気が軽くなってきました。
しかし、ここまで来て
解体前に予想していなかった
コンクリートの土間が床下から発掘されました・・。
既存の敷瓦土間より30cmほども上がっています。
柱の下のほうも埋まっています・・。
想定外ですが撤去してしまわないと
予定している厨房が造れません。
梁のかかった下の柱の根元が
土間に埋もれてこんな風に腐って傷んでいたので
これも根継で補修することに。
改修工事では、
これらのような予期せぬ傷んだ箇所はつきものですが、
以前造ったときにもう少し配慮されていればなあ・・、
と思うこともしばしばあります。
隅々まで落ちなく目配りするのはなかなか大変ですし、
事前に想像のつかないようなことも勿論ありますが・・。
平行して
茅葺屋根の葺き替えも始まりました。
葺き替えの様子をみている
くさかんむり親方の相良さんと坂口さん。
まずは
今の葺き材を降ろし、
使える部分は再利用、
腐った部分は堆肥に、土へと返します。
竹で出来た垂木は弱いので、割れたりして
屋根が一部垂れ下がってしまっています。
見た目は高台寺傘亭を連想させるかのようで
風流で面白いのですが・・。
この垂木も今回丸太に交換します。
どこか外科手術のような、
家の傷んだ部分を治療するような工事が
しばらく続きます。
母屋屋根と切り離された平屋瓦屋根。
みちがえるように風通しよく、
軽くなった印象を受けました。
切り離された屋根と屋根の間から
裏の家の茅葺屋根も垣間見えるようになって
景色もすっきりしたかのようです。
(茅葺屋根が葺きなおされると、また半分は隠れてしまいますが・・)
ぎゅうっと、
変に力がはいっていたのが抜けたような、
すっきり感。
だんだんにかるく
すこやかになっていくような印象を
うける家をみていると、
想定外とはいえ、
この工事を家が長く待ち望んでいたことが
ひしひしと伝わってくるようでした。
つづく >
< 前回
解体工事が始まりました。
まずは何といっても一番気がかりだった
隅柱の上の屋根の部分から。
茅葺屋根をめくり、
増築であとからつけた瓦屋根をカットします。
これは前回、ちょうど神主さんが
きりぬさをまいていた写真の辺りです。
真ん中の柱が隅柱です。
雨漏りのあとにシロアリが入っていて、
結構、傷んでいます。
壁に隠れていた側は
シロアリに喰われて中が無くなっています。
材がケヤキなので、
喰われたのは辺材のしらたの方で
芯材の赤みのほうは食われず腐らず残っていますが・・。
シロアリは雨漏りをつたって
上の梁のほうまで上がっていて・・
梁の上半分くらいは
喰われて残っていませんでした。
茅葺を受ける隅のサスが降りてきているので、
荷重でひしゃげないように、
補強を入れることに。
この辺りの柱梁の架構は
前回の改修のときにかたちづくられたもののようです。
増築部の土台は
斜面に近すぎたせいでしょうか、
湿気と水で完全に腐っていました。
茅葺工事が始まる前に
軸組の補強工事をある程度終えておく予定です。
瓦屋根と茅葺屋根の取り合いの納まりも
この日現場で打ち合わせして決めました。
大きな方針としては、
茅葺屋根がきちんと葺きおろせるように、
瓦屋根を短くカットしてしまい、
その下にあった部屋の部分は、両方に干渉しない高さで
新たに板金屋根を架けなおしてカバーしていきます。
不具合のあった部分が
これでようやく直っていくでしょう。
つづく >
< 前回
気持ちよく清々しく晴れた朝です。
節分が開けた今日、
工事を始めるにあたってのおはらいを行いました。
ちょうど、敷地のお隣の空き地では
集落の人たちが集まって、
旧暦の新年を祝う村の催しが行われていました。
お施主さんのご希望もあって、
神社から神主さんに来ていただきました。
江戸時代からの長い年月、
この場所に建って、
多くの様々な人が関わり、様々なことやおもいを
受け入れ、見聞きしてきたであろう
この大きな家を
直して変えようというのですから
気持ちと決意をきちんと土地にも家にもお伝えして、
ことをはじめたいという、
あらたまったお気持ちゆえ、でしょう。
土間に祭壇が組まれると
場の雰囲気が変わってきます。
神様にこの家を直すことのご報告、
そして工事の無事を祈ります。
順番に榊をお供えしていきます。
主に改修されて変わっていくところに
小さな紙片(切麻きりぬさ)をまいていき、
そこについている前の住人の方のおもいなどもろもろを
祓い清めていきます。
家の周りにはご家族の方に
お米とお塩を、
水周りにはお酒とお水をまいていただいて、
万事滞りなく無事に式は終わりました。
どうもありがとうございました。
工事の始まるのを待つばかりに
準備の整った家。
明日から
茅葺屋根の葺き替えに備えて
解体工事が始まっていきます。
茅葺屋根と平屋の瓦屋根の接する箇所。
形状的にどうしても雨が漏る形になっていて、
伝った水で母屋の隅柱が傷んできていますが、
今回の改修でそれもあらたまって、
柱が守られる形に変わります。
・・家も一安心ではないでしょうか。
実測調査中に、
ここを直してほしい、と家から頼まれた様な気がします。
上記のような想定外の補修も多々あったため
予算に合わせていくために、
改修内容を現場でもう一度見直していきます。
与えられた条件が、
無理のない、今ここにふさわしい姿を
導き出してくれているはずです。
私たちももう一度現場を
あらためて見直して、
坂口さん、あかい工房さんと一緒に
適切な改修箇所と相応しい形を探し、検討していきました。
いくつかの修正案が見つかったので
再見積をお願いしました。
どうなっていくのか、楽しみです。
> つづく
< 前回