今月の初め、
いよいよ竣工の日を迎えました。
きれいに掃除がされて引き渡しを待ちます。
エントランスの庭も完成しました。
苔が植えられて、石と植栽と建築が結ばれました。
紅葉は散ってしまいましたが、
この場所で石橋にかかる天蓋のように育っていくでしょう。
庭も落ち葉が片づけられました。
池や新しく出来た地形も
元からあったようにこの場所に馴染んできています。
棚田から想を得た三段の池。
流れる水の響きが周囲の存在に生気を与えます。
周囲がガラス建具のこの建築では庭が建築と一続きです。
煉瓦の小屋も完成です。
庭の中の東屋。
紅葉の木立の向こう、ムクの大木の側にある佇まいからは
何か物語を感じるようです。
石敷の広場が出来て、
どこかの街角にいるように見えます。
宇根田さんの作った鍛鉄のゲートが不思議に調和します。
鍛鉄で他にも内部のグリルや暖炉のパーツを作ってもらい、
それらは最後に空間を引き締めるものになりました。
既存を残しながら、
外構にも建築にも全面的に手を加えたこの工事には
ここまでに2年の月日が過ぎました。
その間には震災もありました。
姿を変える部分の解体が終わった頃が丁度その時期でしたが、
破壊を経て、新たな創造と再生の作業が施されていくさまに
大きな現象とのパラレルをふと感じました。
途中には困難な状況もありました。
それを乗り越えることが出来たのは、
ここに美しい場所が出来る、という夢と
そのことへの密かな確信、があったからだと思います。
それらを関わる皆が共通に抱いていたような気がします。
そして、
工事に携わる人たちには
それを裏付けるだけの仕事、技術、経験、知恵と努力がありました。
そのことに助けられて、現場で何度か構想の修正もしながら、
一緒に造り上げてきて、出来上がったのがこの場所です。
櫛谷建築の皆さん、
宮川庭園の皆さん、
どうもありがとうございました。ご苦労様でした。
ポイントになる制作をありがとうございました。
何より、そのような進め方が可能になったのは
お施主様の理解と寛容があったからで、そのことに深く感謝します。
そしてその理解と寛容の奥には
ここに美しい場所が出来るという夢と確信が
誰よりも確固とされていたのかもしれない、と、
今になって振り返ると、
そのように感じます。