北中幸司さんの薔薇が、ついに版画として完成しました。
展覧会でのお披露目が楽しみですね。
そして最後の作業報告が届きました。
額装です。画面の周りのマットの大きさや
額とのバランスは作品の印象に大きく影響します。
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前回で終了したと思われた作業報告。
またか…と思われるでしょうが(笑)、
今度は額装編です。いよいよ完結?
「毒喰わば皿まで」の心境で、、
どうぞ目を通してみてください。
額装の準備段階。
絵に対して、額をどれくらいの大きさにするか、
実際に模型を作ってシミュレーションします。
寸法が決定したら、額屋さんにオーダーメードで製作してもらいます。
今回は「くらしのかたち展」に間に合わせるため、急ぎで作ってもらいました。
数日後、額が届きました。
ブナ材の木地を研磨しただけの仕上がりで、塗装はしていません。
歳月とともに木の色が変化しますが、それも味になるでしょう。
1ミリ厚の淡いクリーム色のマット紙に、
作品の寸法に合わせて窓がくり抜かれています。
マット紙の下に同寸法の厚紙があり、作品はこの間に挟み込まれます。
マット紙と厚紙の一辺は、このようにテープで止めてあり、
開いたり閉じたりすることができます。
作品の上側の辺です。
マット紙の断面は45°の角度にカッティングされています。
版の外側の余白は4ミリほど見えるようにしました。
こちらは、下側の辺。
下はサインが入るので広めに空けます。
作品のコーナーを固定するためのシールです。
直角三角形の袋状になっていて、ここに作品のコーナーを差し込みます。
こうして四隅を厚紙に固定します。
作品に直接テープを貼っていないので、
額や作品を入れ替えるときに
作品を傷つけないで取り外すことができます。
作品の下に鉛筆でタイトル、サインを入れます。
僕の場合、植物の名前をそのまま
作品のタイトルにすることがほとんどです。
今回は漢字で「薔薇」にしてみました。
…難しい字です。
漢和辞典でよく調べて、別の紙で練習してから書きました。
それからスケッチした日付も忘れずに書き込みます。
マット紙をかぶせます。
上から、マット紙・作品・厚紙・透明アクリル板・パネルの順に重ねています。
今回は、会場で作品が鑑賞しやすいように、
作品のうえにはアクリル板を入れないで展示します。
額の裏側です。
フレームとパネルを金具で留めています。
これで、額装が終わりました。
いよいよ搬入ですね。
どんな出会いが待っているのでしょうか。
僕も楽しみです。
北中 幸司
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ありがとうございました。
額の大きさを決めるシュミレーションもあったのですね。
一点、一点、この作業が施されて、ようやく完成。
私たちは一足先に作品を見る機会(⇒)がありました。
薔薇を見たときに私たちが受け取る印象、
意識化されているところから
無意識に受け取っているところまで、
途切れないひとつのあらわれとして
その画面の中に見ることができるようです。
ですからこの絵を見ることは、
ひとつの体験(追体験とも言えます)
といえるかもしれません・・・。
情報として、片づけられていない、
薔薇そのものと出逢う体験。
いわゆる、薔薇の絵を見る、
というには納まらないものが、
そこにはあります・・・。
是非、会場で体験を。
今回からの技法の変化が
版画として完成させるために必要だった制約から
表現に自由度を与えたように思います。
これからの作品がどうなっていくのか、
どこまでいくのか、楽しみです。
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上門前の家(森田建築設計事務所)にて
展覧会のお知らせです。
『くらしのかたち展 仕事する服と植物へ』
森田建築設計事務所 上門前の家にて
2012年 7月 14日(土)15日(日)16日(月)
12時〜18時まで
詳細はこちら ⇒
どうぞ皆様、お運びください。
お待ちしております。