前回、ようやく決定したかと思った山石は
持ち帰って検討してみると
粘板岩のため、
割るときに層状に割れてしまい、
石積の時の小突きでの調整がしにくそうであることがわかりました。
風化の表情ももう一つ読めない。
この部分の石積は庭全体の印象を大きく左右します。
メインの室内からの印象もここで決定されるので、
他の石も検討することに。
そこで、以前から候補に挙がっていた
木曽石を産地まで見に行くことにしました。
名古屋にいた庭師の圭ちゃんの案内で
宮川君と一緒に木曽へ向かいます。
都心部から車を2時間ほど走らせます。
おおらかな風景の中へとやってきました。
この風景の中に石屋さんがありました。
表面が気泡状になってざらついています。
濃いベージュのような肌に白い粒子の混ざった独特の表情です。
苔むしやすい。また、滑りにくい。
山積みになった石を見ていると、遺跡のような雰囲気を帯びています。
土や植栽にもよく馴染む表情です。
前方の山からしか産出されないのだとか。
それもある決まった谷のみで、
別の斜面に入るとそこではもうこの石は無いのだそうです。
火山岩で花崗岩の一種ですが、
噴火して堆積した時の状況で性質が変わったのでしょうか。
残念ながら山には入れなかったのですが、
山の中ではこのような状況で眠っています。
澄んだ気の中での、静謐な時間を感じます・・。
掘って切り出してくるのではなく、
このように転がって埋もれているものを
表面を傷つけないように一つ一つ拾いだしてくるのだそうです。
表情も、積んだ後の経年変化も味わい深いものになりそうです。
こちらの石で進めることにしました。
こうして産地まで来ると色々感じるものがあります。
花崗岩もとても興味深い石種です。
・・そういえば、後から思い出しましたが、
カンボジアのアンコール・トムの石はこんな風にざらついた肌合いでしたね・・・。
もっと黒っぽい色でしたが、
同じように表面が長い年月の間に苔むし、汚れていったのかもしれません。