リラが指定したみなべの海を知ったのは
後藤さんからのメールで、だった。
海亀が産卵に来る、とても美しい海らしい。
梅の産地でもあり、山の方では備長炭も作っている。
古代からの巡礼路でもあり、
京都の八坂神社から勧請された神社と、
常陸の鹿島神宮から勧請された神社があって
由緒はよくわからないが、
古くからよく知られた聖地であり、
エネルギースポットだったのだろうと思われる。
たまたま来たメールから、
リラが気まぐれに選んだ場所とは思えない・・・
とすると、偶然に見える出来事は既にセッティングされていて、
それをなぞるかのように現実の出来事が展開している・・・
と見るほうが自然で納得できるくらい、
様々なことが何かするするとスムースに運ばれていく。
少し現実離れしているような現実の中、
晴天のもと、僕らを乗せた車は高速の上を渋滞もなく皆を運んでいった。
みなべの海は
想像を遥かに超えて、どこまでも青く、どこまでも広い
光り輝く美しい海だった。
今までの人生で見てきた中で一番海らしい海・・。
僕たち4人はあまりの美しさにただ呆然としつつ、
きれいに整った芝生の公園を越えて
砂浜から岩場の方へ歩いていった。
この光景を見せたかったのかな・・・、リラは。
寄せては引いてゆく波が
白い泡と光の粒を尽きることなく、無限に空の中へ生み出していく。
地球上のいのちのはじまりの場所が海だったこと、や
いのちの循環する光景を見ているような気がする・・・。
DNAの中の太古の記憶とこの光景が繋がって、
波のリズムと共に深いところから表れては消え、
明滅する原初の光景の記憶。
リラが帰ってゆくのにこれ以上相応しい場所もないような気もした。
ありがとう〜、リラ!
4人で岩場にたって、波の中へ、送り出す。
ピンクの花びらが小船のように揺れながら、波間を漂ってゆく。
ただただ全てがキラキラと美しくて、それ以外の何もない中を・・・。
全てが海と一つに溶けていく。
・・・何かが終わっていった感じがした。
リラのことだけでなく、もっと色々なことを含んだ大きな何かが。
そして又何かが始まっている・・・。
なんちゃん、のりちゃん、ありがとう。
ここまで一緒に来てくれて、リラもきっと喜んでいるね。
海の側のホテルで昼食を。
シーズンも終わりなので、随分空いている。
海を眺めながら、何故か中華をいただく。
・・・こんなにゆったりした時間を揃って過せたのも
本当に久しぶりで不思議な感じがする・・。
岬を挟んで反対側にある千里浜を見ていこうと、
梅畑の中を通りぬけ、辿り着くとそこは
どこまでも何も遮るものなく光り輝く海面に続く砂浜だった。
キラキラと光る波に誘われて、
思わず皆で気功する。
最初からはちきれそうに満ちてくる・・
波のリズムが自然に呼吸を導いてくれて・・・
よろこびに満ち足りる。
ここは、いのちの海・・・。
喜びと感謝のほかは何もない・・。
この日はまだまだ色々なことがあったけど、
最後には赤い夕日が締めくくってくれた。
美しいとしかいいようがなくて、他に付け足すことはなにもないような。
新月の日、MJの誕生日。
この文章を書いているのは
この日から数日経ったあとなので、この日のこと、
この一連のことを何度も振り返って考え直してみる機会があった。
色々なことが何一つ欠けても、この一連の出来事は成立しなかっただろう・・。
そしてそこには、僕らが直接あずかり知らない出来事も関ってくる。
だから、僕らの理解可能な理由付けは実際のところ不可能で、
終いにはどうでもよくなってくる。
でもこのことが現実にあったことで
それを僕らが体験したということは事実。
そこでわかったことで今言葉に出来ることは、
愛は、次元を超えて存在し、繋がっている、ということ。
もう一つ、それが愛だと気がつくために、
自由な想像力がはたらいていること。
この二つは次元に関係なく、その境を越えていける。
そしてそれは皆に分け隔てなく与えられているのだと思う。
僕らは皆その中に存在しているのだと思うと、
信じられないような奇跡だと思えて、有難いことなんだと
感謝の気持ちが湧いてくる。
この三つは分けられない一続きのもの ・・・。
ありがとう、リラ。
又会えるね。