7月18日の朝、
愛犬リラが息を引き取りました。
・・・それから数日経ちました。
スタッフのみんなや教室の生徒さん、友人達、
仕事で関った方々、近所の方や家族、
周りの方々に沢山の優しい言葉や励ましをいただいています。
ありがとうございます。
リラの介護中にもそうやって支えられてきたこと、
深く感謝しています。
私達二人とボンだけではとても乗り越えられなかった・・・。
そして、
日々、色々なことがあるおかげで、
少しずつ少しずつ、ゆっくりと
衝撃、悲しみ、寂しさは薄らいでいくのでしょう・・。
リラとは15年間、一緒に生きてきました。
私たち夫婦のことを最初から見て
一緒に歩いてきた、家族でした。
リラは犬でしたが、
それが何だか不思議な印象でした。
時折垣間見せる表情に、
リラという個としての存在を感じました。
でもリラは犬としての存在とお役目を越えることはなかった。
だけど、眼の奥の奥の光の中に
かつて今と違った存在同士での関係があったかもしれないし、
これからもあるのかもしれないと思うような光景、
遠い記憶が瞬くような瞬間が何度もありました。
単なる思い過ごしかもしれません。
それが何だったのかは今では確かめようがありませんが、
私達ときっと縁の深い存在だったということなのだと
思っています。
素直に愛を与えあえる関係で出会い、
関ってこれたことをうれしく思います。
誰でもそんな風に素直にお互いに愛を与え合いたいと思っています。
でも、時にそうできない出来事が起きたり、
いがみあったり、憎しみあったり、腹を立てたり、
気まずい関係になってしまうのは、
人間の悲しい性なのでしょうか・・・。
リラは少なくともいつでも出会う皆に
惜しみなく愛を与えているように見えました。
その姿だけでも教えられることが沢山あります。
今の自分はまだあんな風に出来てはいません・・・。
『大丈夫』 と、
リラの笑顔が言っているように思えます。
いつだって、リラの笑顔は
どんなにもつれた気持ちでも解きほぐしてくれました。
道行くすれ違う人が
しかめ面だったのが満面の笑顔に変わって、
リラの方を見ているさまを
何度となく見て、おかしかったし、すごいなと思いました。
そんなこと、どんな人にだってなかなかできる事ではありません。
子供の時には誰もがそんな存在でした。
ですが、歳を経るうちにそれを失っていく。
いつまでもそんな風に人同士がかかわりあうことはできないのでしょうか。
リラを見ていると、
そういう可能性が人にはあるということを感じました。
リラと関る人はそのとき、
みんなそういう存在に戻っていたからです。
とはいえ、
リラだって時にはすねることもあったし
ふてていることもあったわけで、もちろん
完璧だったわけではありません。
私達も時にはリラに対して自分の都合を優先することもあった・・。
でもいつでもリラは信じていました。
リラ、という名前の由来を
花のことだと思っている方もいます。
もちろんそれでも構いませんが、
実はこれは LIRA で、弦楽器のことです。
竪琴も弓奏弦楽器も全て含んで、弦楽器を指す言葉。
あのオルフェウスが持っていた楽器はLIRAです。
関りのある楽器ですし、
響きもいいので名前にしました。
ぴったりな名前だったなあと思います。
いなくなってわかったことですが、
リラは存在が何か賑やかで、よろこばしい雰囲気でした。
まるで何か音を奏でているような、存在感。
その音に周りが共鳴して響きあっていたのでしょう。
音が放たれなくなって、
そのことに気がつきました。
鳴り出した音に
こちらの内面深くにあるLIRAの音が共鳴して鳴り出す。
その響きは楽しげでした。
思わず微笑んでしまうような響き。
黄金の毛を揺らして歩くたびに
こちらを向いて微笑んでくるたびに
奏でられるLIRAの音。
金色の毛をしたリラはまさに
『黄金の弦楽器(LIRA D’ORO)』。
聴く者のこころの深くを鳴らす不思議な楽器。
息を引き取ったあと、
黄金の毛並みはいつにも増して金色に輝いて
光に透けていました。
物質から解き放たれたあと、
こちらに残されたのは沢山の思い出と、存在の印象。
それもいずれは少しずつ薄れ、透けて
光の中に溶けてゆくものかもしれません。
ですが、一度共鳴したそれぞれのLIRAの音は
その存在に気づいたものからは
消え去ることがないような気がします。
それが元々、誰の中にも鳴り響いている音、だからです。
私達の奥深くで鳴り響いているLIRAの音。
それは又共鳴しあっていくのでしょう。
その響きに満ち満ちた世界を見てみたい・・。
リラ、どうもありがとう。
私達がリラと関りあった時間、与えられたものは
まさに
Grace だったような気がします。
ゆっくり休んでください。
私たちは信じています。
忘れることはありません。
ありがとう。
愛しています。