今月頭に引越しの日が決まっていたので、
連日、遅くまで作業をしてもらってなんとか間に合いました。
現場の皆さま、ご苦労様でした!
ひろくん、お疲れさま〜。
櫛谷建築さん、どうも有難うございました。
竣工の時には写真が撮れなかったので、
引越しが終わってからもう一度伺いました。
完成なった外観。
玄関は古建具の引き違い戸が入り、暖簾掛けがつきました。
全体の印象は新しくなった、というより、古くなった(笑)・・。
すっかり馴染んでどこに手を入れたかわからないくらいですが、
しかし、やはりこの方がたたずまいが自然で落ち着きますね。
2階の窓。
かつての姿に戻ったのではないでしょうか。
外側は元の色を踏襲した白ペンキ塗り。
アーチと開き窓に
当時の人々が感じていたであろう
西洋の雰囲気やそこへの憧れが合わさったような気分を追体験します・・。
あの窓の中はどんな部屋だろう、きっと素敵なんだろうな・・
・・と想像の膨らむ窓・・
そんな魅力を取り戻したように思います。
新設したNeji式花壇。
壁は焼き杉板張り。
ここは植栽が入って、新しい魅力のある場所になるといいですね。
内部の方は・・・
玄関から見たところ。
アンティークのステンドグラスが正面に見えます。
床は畳から杉厚板張りに変わって椅子式の部屋に。
壁が出来て、テーブルや椅子を置いたときの
落ち着きが出たようです。
2階の書斎。
北向きの窓からの光は、静かで落ち着いた明るさ。
予想通り、いい書斎になりました。
窓にはまっているのはステンドグラスに使う型ガラスです。
このタイプは光が拡散して乱反射します。
西口さんたちのセレクトですが
北からの光の質にはちょうどいい性質でしたね。
けんどん式の木製ルーバー窓をつけたところ。
上下二枚に分かれています。
上げ落として枠に引っ掛ける仕組みです。
お向かいさんの窓と目がささないようにしたり、
光の量を絞り込んだり、
これから真夏頃の西日を遮ったり、
夜間の外からのシェードになったり、
・・というはたらきをします。
光が絞りこまれて柔らかくなると、
そこは落ち着いた雰囲気になります。
枠の周りにはクッションゴムなどを仕込んだので、
以前より少しは隙間風なども改善されていると思います。
お休みの日の昼間、
ここでゆっくりと落ち着いて読書したりするのはいいでしょうね・・。
古い家を直す方法は色々あります。
元通り復元していくやり方もひとつですし、
全く違った形や要素を付け加えて新しい空間をつくるやり方もあるでしょう。
どちらが正しいということもないと思います。
その時々の状況に応じて、
必要なやり方が見えてくることでしょう・・・。
話は少し飛ぶのですが、
以前、中世の古楽を演奏するグループで
弓奏弦楽器(ヴァイオリンの先祖)を弾いていました。
中世の曲というのは記録として残っているのが
アレンジもない、とても短いメロディーだけだったりして、
そのままでは演奏してもすぐに終わってしまう、
というようなこともしばしばです。
そこで、それを元にアレンジを加え
メロディーも増やして、長く演奏できるように
曲を膨らませていくのですが、
その際に大切なのは、
如何にその曲のエッセンスを感じ取って引き出していくのか、
ということになります。
可能性を感じるけど音になっていない、という部分を見つけて、
具体的な音やリズムやメロディーにしていくのですが、
エッセンスに合ってさえいれば、
意外なものをあわせても案外しっくりきた、ということも
よくありました。
曲の魅力がそれによってかえって増すのです。
古い家を直す、という仕事は
それに良く似たところがあるように思います。
今思えば、そのときの経験が良い訓練になっているような気もします。
家とそこで住まいする人のおもいから
聴こえてくるエッセンス、感じる可能性・・。
この家は 楽しい小曲 でした。
そして、出来上がって
生活の始まった家からは
楽しげ暮らしぶりがきこえてくるようでした。