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美しい場所(その4)
 
予定より遅れて、しかし快調に高速をねむの木学園に向かう。
途中、海辺のSAで太平洋を見た。
普段目にしない水平線の広がりの感覚と
潮のにおい。

ねむの木学園のある掛川はかつての城下町で、
木造伝統構法で造られた復元天守閣があるのを
古い街並みが少し残っている城下町の辺りを走っていて思い出した。

ねむの木学園は山の方にある。
標識を探しながら道を進んでゆくと
次第に鄙びた雰囲気、畑と民家のどかな風景に変わっていく。
コンクリート擁壁に施された、
ねむの木らしい、明るくてカラフルなタイルと色の案内表示を左に折れて進む。
そのまま山間をすすんでゆくと
地形に沿って大きな弧を描く道に差し掛かった。
よく見ると、その斜面には全体に満遍なく桜が植えられている。
春先は一面桜が咲きここは花で包まれて、
まるで山が両手を広げて桜色の花吹雪で歓迎してくれるような
幸せな光景の中を進んでいくのだろう。
ここがねむの木村の入口だね、きっと!
この風景の向こうに
まりこさんたちの笑顔が透けて見えるような気がした。

ねむの木村に着く。
皆が運動会に行っていて何だか静か。
小雨が降って、
曇り空の穏やかな明るさの光と
澄んだ空気。
こんなきれいな場所は他にはあまり出会ったことがない。
純度が高いというのか、清らかというのか・・・。
野に咲いている花さえも他で見るのとは違う
美しさと可憐さにあふれて咲いているようだ。
何が生み出しているのだろうか、この雰囲気を。
初めてだけど、よく知っている場所・・。

道沿いの家々は多分
関係者の人たちのものだろうか、
どれも精一杯かわいらしくて、
美しい夢への架け橋となるように
という気持ちがこめられて、造られているのを感じる。
それはひとつの祈りのかたち。

道を歩きながら、僕達は4人とも、
なぜ今ここにいるのか、
どこか深いところで知っているような感覚を覚えていたと思う。
そして今からここで起こることも、
この先、僕達の行く道に起こるであろう事も
もう知っていて、それを確認するためにここにやってきたような、
そんな気がしていた。

運動会のグラウンドは
木立の間の坂を下りて赤い橋の向こうにあった。
小さなかわいらしい円形の場所は
そこだけが空に向かって開けているように見えた。
競技は進んでいて、おにいさんおねえさんたちのリレーの真っ最中。
その様子を見ていて、
一生懸命走ることが、その速さや勝ち負けやフォームとは関係なく、
とても美しいものなんだ、
という何だかずっと忘れていたような感覚を思い出した。

車椅子のパレード。
荘重な曲と共に円を描いて進む姿は気高く、美しい。
描くフォルムが何事かを伝えてくるようだ。
こころが震えてくる。

パレードの退けたあとに車椅子に乗った
オレンジ色の衣をまとったまりこさんが一人残っている。
そこに聴きなれたフレーズが・・・、
マイケル・ジャクソンの『マン・イン・ザ・ミラー』、
とわかった瞬間に涙が溢れてきて、止まらない。
この歌をそのまま生きてきたような人。

そのあと、
又よく知ったフレーズが・・・
『スムースクリミナル』!とともに子供たちがスーツ姿で飛び出してきて
皆で踊りだした、ときには本当に
びっくりして、感動して、泣いた。
どこでどう繋がっているのかわからないけれど、
僕達もこの曲を去年の12月23日の餅つきの日に踊っていたから、
何だか他人事と思えない・・・。



運動会の感動に浸りながら、
みんなできれいに掃除された山道を登ってゆく。
湖を見て、木立を過ぎて、しばらくいくと
斜面に半ば埋め込まれて、まるでお話の中に出てくるような
白い丸い、大きないも虫のような?不思議な形の建物が見えてくる。
藤森照信さんの設計の子供達の絵を納めた美術館。楽しい形。
古い木立がすっくと立ち清々とした空気の神社の前に道を挟んで建っている。
この斜面も何だか光っていて明るい。
中に納められた子供達の絵は、
純粋でひたむきで美しくてまっすぐで
深く入ってくる。


ねむの木村
ここで感じていること、
ぼくらが目指していることが
こころの中で繋がった。
一つの現れ、形になった場所がここなのだ。

『美しい場所』

みんながはたらいて
笑いあって、補い合って、繋がって
暮らせる場所やありかたはどんなものなのだろうか。

行為や形を通して、
想いは目に見える認識できるものになる。
想いの通路としての行為や形なので、
それは状況に伴って変化していくだろう。
僕らは想いを持ち、
行為を積み重ねて想いを育み、
また想いから行為が生まれ、引き継がれてゆく・・。
その想いが真実に基づいた上に生まれてくるところ。
行為がその想いに基づいた上に生まれてくるところ。
喜びがその行為に基づいた上に生まれてくるところ。
想いがその喜びに基づいた上に生まれてくるところ・・・。








| - | 22:12 | - | - |
美しい場所 (その3)
 
明けて24日、横浜にて朝を迎える。
港に近いのでせっかくならば横浜気分を味わいながら
朝のコーヒーを飲みたいね、とみんなで港の方、赤レンガ倉庫ヘ向かう。
途中にはキング・クイーン・ジャックの『横浜三塔』をはじめとする
古い様式建築が並んでいて、道も広々していて気持ちいい。
赤レンガ倉庫の向かいには横浜港大桟橋国際客船ターミナルが見えていて、
新旧の建築を楽しめる場所。
地元の人にとっては朝の散歩やジョギングのコースでもあり、
僕らはその様子を眺めながら、コーヒーと
昨日、頂いたルヴァンのパンを頂いて皆ご機嫌。
レンガ壁の建築の前でさんざん記念撮影を行う(笑)。

通りからいきなり堅い素材で出来た建築の壁面が垂直に立ち上がっていく姿は
日本にはあんまりないように思う。
木造だと凹凸や緑や軒やと色々くっついて、
スケール感が人のサイズに近いというか、
威圧感があんまりない。
現代建築だと大きくてもガラス面が多かったりして、
堅くて圧するような印象はない。
はじめてヨーロッパに行ったとき、街から受けるこの印象にちょっと疲れた(笑)。
西洋の様式建築の壁面の装飾的な要素は
それを緩和するための本能的な対処だったのではないかとか
思ったりもする。

そういう意味ではこのレンガ倉庫は、
よく見ると、割合愛想のない面持ち(笑)の壁面なんだけど、
日本でこういう古い様式建築を見たときに共通して感じる、
どこか胸ときめくような夢のある感じというのはどこから来るんだろうか。

思うに、これらを造ったときに
工事や設計に携わる人々が感じていたであろう
西洋に対する憧れや近代化への夢、そこに向かう手応え、
そんな高揚感や夢や希望のようなものが
刻み付けられているのではないだろうか・・。
僕らは心の中で
そこに刻印された響きに共鳴し、再生して、ひと時同じ感慨を味わう。
その中には少しばかりの苦くて切ない
マイナーな響きも含まれているのだけど・・。
人がつくったものにはそのとき込めた想いが
いつでも息づいている・・。

横浜はそんな部分を沢山抱えていて、
訪れた人の心に当時の人々の夢を再生させてくれる場所なのかもしれない。
僕らのイメージの中の『ロマンティックなヨコハマ』はそのことを
さしているのだろう。
そういえば、なんちゃんは青春時代を横浜辺りで過したそうで、
思い出の背景にこういう場所があるのはちょっとうらやましい(笑)。

思った以上に長居してしまった。
今日の目的地、ねむの木学園に向かう。

(さらに つづく)






| - | 13:44 | - | - |
美しい場所 (その2)

 横浜・上大岡の福鼓楼さんに来るのは久しぶり。
週末の夜をここで過そうと、
家族連れで来られているお客さんたちが沢山来られていて、うれしく思う。
地元に根付いたお店になりたい、
というのがオーナーの正村さんたちの当初からの希望だったからだ。
この日もお父さんの誕生日を祝うご家族が来られていて
微笑ましい情景だった。(キャンドルつきの特大の大根餅!食べてみたいな〜)

正村さんご家族も一緒に工事に参加されたお店
2年を経て、いい雰囲気に古び、馴染みつつ、
大切に使われている様子が伝わってきた。
店の造りが馴染んでいくのと歩調をあわせるように、
少しずつこの場所や
この街の人たちとも馴染んできたのだろう・・。

今夜はもみじ市の打ち上げで
お任せの料理をお願いした。

・・せっかくなのでメニューをここに。

【菜譜】
前菜五種盛り
特製 大根餅
海老すり身の白菜包み蒸しーさつま芋ソース仕立て
豆苗香り炒め
白み魚と旬野菜のしそ風味炒め
もち豚とキノコ、四角豆の自家製XO醤仕立て
キノコと烏骨鶏の薬膳スープ
海鮮とトマトの黒酢酸辣風味おこげ
クリーミーな杏仁豆腐


・・書いてて美味しかった記憶で
涎が出てきた(笑)。
上品で優しいきれいな味というのだろうか。
丁寧に作られていてとても美味しい!
どれも甲乙付けがたくお勧めだけれど
海鮮とトマトの黒酢酸辣風味おこげ、は
他では味わえないと思う。

ぎらぎらの中華を期待すると違うのだろうけど、
広東料理が世界各地に広まるうち、
長い年月を経るうちに、
こういう花実を結んだのはとても面白いことだ。
現代の日本で、
中華料理を学んだ正村さんという人の上でないと
こんな花は咲かなかっただろうな・・・。

一同面々、堪能して満足な様子。
今日一日お疲れさまでした。
疲れたところにこうして美味しい料理がでてくると
気持ちが安心して、身体の疲れが
心の充実に変わって行くような気がする・・・。

正村さんの奥様やお子さんにも久しぶりに会えてうれしい。
大きくなった響ちゃん、児童合唱団で
新垣勉さんのバックに参加したらしい。
今新垣さんの歌を聴いて来たんだよ〜。


遠く離れた場所に来て
こうして見知った人たちがいて
温かな場所を用意しておもてなししてくれるなんて
ありがたいなあと思う。
設計という仕事をやっていて良かったなあと、思うひととき。

僕らがこの日感じたきらきらしたものは
又ここで育まれたきらきらに出会い、
受け渡されて、新しい喜びを加えて
温められて、心地よいまま
今夜の寝床まで持っていくことが出来そうだ。

有難う、福鼓楼さん。
幸せの腹鼓、沢山鳴らしましたよ!

(まだ つづく)

| - | 19:53 | - | - |
美しい場所 (その1)
 
10月23日(土) 東京 多摩川にて 『もみじ市』 
料理教室森田が出店するというので、
僕も運転手兼用務員さん(?)位には役立てるかな?と
思って、一緒に行くことにした。
週末、久々の東京への車の旅もちょっと楽しみ。

料理教室のスタッフたちは頼もしい存在。
彼女達なくしては実際、こんな企画への参加は思いもよらないだろうな・・。
久美をはじめとして
安田さん、なんちゃん、そしてニューフェイスののりちゃんも加わって
この一週間、日々、上門前の事務所から家の方に戻るたびに
何だか美しい瓶詰めの食材なんかが出来上がってゆくのを感心して眺めていた。
『ごはん』のメンバー、ワンドロップのりょうこ女将も日参して、
明るく作業前進!
帰ると、誰かがいて作業をしている。大テーブルで
やえさんやひらいわちゃんが作業していたり・・・。ここ誰の家?みんなの家(笑)!
日々、断片的に見るだけだったけど、
沢山の人が手伝ってくれて、その繋がり連なりの中から、
様々なものがむすばれてゆく様は
素敵な光景だった。

そして又、
それぞれの背後にはそれぞれの家族がいて、
彼らもまた様々に仕事や日常の用事を何がしか融通して、
彼女達がここに手伝いに来れるようにしてくれている訳で、
そんな沢山の繋がりの上にある作業の上、
さらに僕らが見ず知らずのままの沢山の人の手も経て、
水面下がほとんどの大きな氷山の一角が
今ここで出来上がってきらきらしているものたちなのだ・・。


金曜の夜中、
みんなのおかげで準備が整って、
なんちゃん、りょうこちゃん、久美、僕の4人で東京へ。
なんちゃんのお兄さんが貸してくれた車は広々快適。
そしてなんちゃんが運転が得意ということもわかって、
僕はずいぶん楽をさせてもらえた。いやあ、頼もしい。有難い。
何年か前に足尾や益子へ何人かで行ったときには
あんまり運転を代われなくて時間もなくて大変だったなあ・・・。
なんちゃんのグッド・ドライビングのおかげで、
何だかみんなの気持ちにも余裕がでてくるし
車中の雰囲気も和やかに話の賑やかなまま、深夜の高速を進む。
みんな多分あんまり寝ないまま、順調に進んで
朝日の出迎えを受けるように東京へ入ってゆく。
気がついて振り返ると富士山が
その頂を薄桃色の朝霞の空の中に見せていて、
幸先のよい予感。 『よう来たなぁ 』 


よく晴れて気持ちのいい爽やかな朝日の中、
多摩川の会場に到着。広いなあ。芝生の上にぽつぽつと
立ち始めたテント屋根がかわいい。



Tシャツの色を揃えてわかりやすいスタッフが誘導してくれて、
きっちりと運営している様子が伝わってくる。
メンバーそれぞれにわくわくの高揚感に頬をほころばせつつ、
今日の一日これからのことを想う。
先に来て待っていてくれた石井夫妻に合流。
初めての場所に知った人がいてくれると何だか安心するもので・・。
ご苦労さま、よろしくおねがいします。

テーブルを並べ、カセットコンロを置くと
僕らの店の設営はほとんど済んでしまう(笑)。
黒板に手際よく可愛くメニューをワンドロップりょうこ女将が書いて出来上がり!
簡単でいいけれど、他では屋台みたいなのを作っているブースもあって
ああいうのもやってみたいなあとちょっと思う。・・来年どう?



・・・とにかく、設営が済むと、サモサ200個の仕込み開始!
石井君と小さなテーブルの上で、打ち粉をしてサモサの生地を
丸めて伸ばして切る、丸めて伸ばして切るの繰り返し。
自宅で予習してきた(笑)石井君はさすがに上手・・(汗)。
具を生地に包むなんば先生に厚みが薄いとか
形がいまいちとか指摘されながらも
めげずに(笑)数作るうちに何だか慣れてきた。



ふと顔を上げると、向こうで入場を待つお客さんたちの列が出来ている。
待たせるお客さんの為にスタッフがゲームをやっているのを見て
段取りのよさとそのホスピタリティに感心する。かなりプロだ、この人たち。

気分はサモサ職人、
で作業に没頭集中して来た頃、
ゲートが開いてお客さんたちが押し寄せてきた。
僕らのテーブルにもあっという間に列が出来て、見る見る伸びてゆく。
竹の皮に包んだお米さんにはつしものおむすび、
揚げたてのサモサ、
あっという間にみんなの手に渡って、目の前から無くなってゆく。
すごいな〜、僕は生地を伸ばしながらその様子を横目で見、
熱気を身体で感じていた。みんな、喜んでくれるかな?

列の中には、偶然東京にいた愛さんたちや
久美の姉一家、成長した可愛いまことshy boyこうすけに
偶然ベトナムから帰っていたさあちゃんも揃って会えてうれしい気持ち。
こんな機会でもないとここまで来なかったし、会えなかったなあと。
そして
東京の友人たち、田中さん(さしいれ有難う〜!美味しかった)や
久々まりちゃんや何人もの教室の生徒さんたち、
おお、達者だったかい?のりょうちゃん(カンロクでたね)に
結婚おめでとう!のユッコにも会えて、
声を交わせて、笑いあえた、晴天の下、
よろこびのRARADE! ありがとう!もみじ市!

・・・という感じで、何の滞りもなく、
無事に完売。
気がつけば他のお店を見に行く余裕は
全くなかったのだけれど・・。
隅々まで、主催者の皆さんの気持ちと配慮の行き届いたもみじ市で
気持ちよく楽しく
沢山の人との出会いの場を創ってもらえたことに感謝。

僕はなんちゃん、りょうこちゃん、朝子さん、石井君、
そして久美と一日一緒に働けて、
なんだか楽しかったなあ。
同じ理想を持っている人たちと
一緒に仕事ができるのは幸せで楽しいことだ。

そして、
今回のような作業でいうと、
何人かである目標へ向かって
ライブな流れの中で手作業をしていくのは、
僕の感じ方では一緒に曲を演奏しているような感覚がある。
お互い通じ合ってくるとやり取りも密に、又細かな部分まで
交わせるようになってきて、面白い。しかも即興で通じ合えることも・・。
そんな感覚で仕事が出来たら、本当に最高だなあ。
設計でもそんな風に有機的なやりとりを
一緒に働く人たちとして、日々の仕事をしていこうと思う。


僕らにはBGMのように聴こえていた
ライブも良かったなあ。
キセルは初めて聴いたけど、こんな人たちもいるのかぁと新鮮に感じ、
栗コーダーQは達者な音楽好き達の楽しげな感じが気持ちいい。
最後のPARADEで演奏していた曲もなんかかわいくて印象的だったなあ。

沢山の人たちがこのもみじ市の中で
それぞれにそれぞれの場所で、
同時多発的に楽しんでいたことでしょうね。
夢のように現れた二日間の美しい場所。
ここにきらきらしているのも大きな氷山の一角なんだなあと・・。

この一日の締めくくりは
寺澤太郎さんの肖像写真館で揃って記念撮影を。
僕らみんなこの日一日の
幸せな余韻に満ちた表情だったのではないかな・・。
プロの写真家さんにこうして記念撮影してもらうのは
やはり何か特別な時間を味わえて
仕上がりが楽しみ!


夕暮れの川原をあとに、
また夕空の中の富士山に見送られながら
もみじ市にさようなら、ありがとう!
お越しいただいた皆さんありがとうございました。


僕らは再び車に乗り込み、
横浜の福鼓楼さんへ向かう。


(つづく)






| - | 19:48 | - | - |
森田建築設計事務所よりお知らせ
 
スタッフ募集。


図面の描ける人。

もちろん、森田建築設計事務所の設計した物件が好きな人。

これから同じ方向を向いて一緒に頑張りましょう!


詳細は面談にて。



応募はメールにてお願いします。


morita-tkl@rio.odn.ne.jp


| - | 00:19 | - | - |
秋の静けさ
 秋の夜、ふとしたときに
深い静けさを感じることがあります。

例えば秋の夜、虫の声、とはいうけれど
日に日に弱くなってゆく、
そのかそけき、
そしてどこかハスキーな響きは
少しずつ静まってゆく季節の流れに沿うような響きで
決して賑やかさを感じません・・。

でもここで感じる静けさは
そんな聴覚的な静けさ以上の何か、
があるような気がします・・。

ある意味、
体感的な、
全感覚的な静けさ、とでもいうのでしょうか。
そして精神的な静けさに繋がってゆく静寂。


ある夜、
それはこういうことなのかな、
とふと思いました。

夏の間、
周囲の暑さが身体を包んで
体表面では活発に放熱や発汗作用が働いています。
常に体表の感覚がオンの状態で活動しています。
体表に汗がにじみ、流れ、服がまとわりつき・・・
表面で感じる様々な感触、熱。

それらはにぎやかさや騒がしさのような
雰囲気や感覚を形作っています。
その総体としてざわざわとした印象を、
どこか音として聞いているように
体感している。

秋になると気温が下がって
その活動が低下してきます。
体表面での活動が沈静化していきます。

体表面で感じていたざわめきを感じなくなったことに
関連して、聴覚的にも静かになったように感じて、
実際の聴覚的な静けさ以上に
深い静けさを体感することになる・・。
無音の印象として。


新陳代謝の活動の低下に伴って
身体の活動も沈静化に向かい、
そこから得られる感覚も静かなものになっていき、
心も静かになり、
その印象を寂しい、と認識する。

秋の静けさ、
そして秋の寂しさは
そこから生まれてくるのではないか・・。


そんなことをふと
静かな夜の中に感じていました。



| - | 09:29 | - | - |
想いがつくる

同志社大学の創設者・新島襄の自邸が
公開されていて、
用事の帰りにふと立ち寄る。


慎ましやかな印象の玄関。



木造2階建。
ベランダがぐるりととりまいた
いわゆるベランダ・コロニアル様式 になるのだろうか。
窓周りは全て木製の鎧窓が付いていて
外観の特徴になっている。







風が感じられて気持ちのいい半屋外空間。
床は水勾配が割合しっかりとってある。




簡素だが、明るく、
どこか印象的な階段。



室内は大体
椅子座を前提にした空間になっていて
当時はかなり西洋的な雰囲気を
訪れる人々に与えたのだろうと思う。
しかし造りは簡素な印象だ。

訪れた時間のせいか、季節のせいか、
それともこの場所が生み出している印象なのか
室内に満ちた光は
どの部屋も清らかで美しかった。


当時、
ここで西洋の深奥にある理想に向かって
勉学に励んだ人々がいる。
ここにある清々しい印象の空気感は
そんな高い理想に向かう人々の刻印していったもの
なのかもしれない。


特徴的な建築の造りよりも
僕にはそんな印象のほうが強く残った。
最近あまり出会うことの無い印象でもある。



建築の造りに託した想いはあっただろうが、
僕らが今この形をうつしても、
そこにある想いまではうつせない・・・



| - | 14:54 | - | - |
9月19日 の 稲刈り のこと
 実のところ、
今日はもう10月も3日なので
この稲刈りの印象は少し前のことになりつつあって、
でもやはり何か書き留めておきたい
大切な一日だったので
記憶を遡ります・・・。


・・よく晴れた暑い日でした。
土手の上から一面の田んぼを眺めたとき、
あのとき植えた稲が立派に大きく育っている姿に
喜びと感動がとめどなくむくむくとこみあげてきます・・。
僕らが見に行けない間、
お世話していただいた山田さんの
おかげで立派な稲穂がたわわに実って、
頭を垂れています。風に揺れる黄金の海。
かさかさと乾いた稲の音。

去年より3倍ほど広くなった田んぼ。
総勢20名ほどがみな思い思いに作業へと、
海の中に入っていきます。
去年の稲刈りの記憶を辿りながら、
作業を体が少しずつ思い出してゆくのに任せつつ、
山田さんや奥さんのアドバイスに動きを試しつつ、
稲穂の水面下に潜って、
掴んで束ねた稲穂を鎌で刈りつつ、
じわじわとにじり進んでゆく。
刈られたあとの地面には日が差し込んで、
その様変わりの様子は
なんだか魔法が解けたあとのような・・・金の海が
また元の地面に戻ってゆくよ!

刈っても刈っても刈っても
まだ稲穂の海は
広がっています・・・そんな印象。

刈り倒された稲穂を束ねる人もいて
めいめいに作業を進めてゆく。
束ね方を去年、山田さんのお母さんに
教えていただいたなぁ・・・。
長年の作業を通して身体が記憶した、
無駄なく鮮やかな手さばきに感嘆しました
・・・せっかく教えていただいたのに、
こちらの記憶はどうもあやふやでしたが。

みんながめいめいに
稲穂の海を介して
一つの目的にむかって作業を進める
一つながりの有機体のようです・・・。
空の上からはそんな生き物みたいに
見えているのではないでしょうか。

作業は続く・・・
普段とらない姿勢や行為が続くと
段々『しんどく』感じ始めます。
感覚がかがんだ脚の筋肉の痛みを感知する、
背中に照りつける日を熱いと感じる、
体温が上り、汗が流れているのに気づき、
ああこれは熱いんだと認識する・・
あ、これはしんどい状況なんだなという連想が
勝手に生まれてきます。
一瞬前には思ってもいなかったのに、
そう思い始めると
『しんどい』ということを裏付けるように、
内面は情報を収集して、そのように構成し始めるのです。
それに呼応するかのように身体も疲労を感じ始めます。

この流れに任せてしまうと
どんどんしんどくなってしまうな、と思いました。
情報を収集して構成するわずかな合間を狙って、
何か別の情報を差し挟めばよいのではないかな、と考えて、
そこに『ありがとうございます』
という言葉を入れることにしました。
具体的には、一束刈るごとに『ありがとうございます』と
小さくつぶやくことにしたのです。

効果は絶大なものでした。
『しんどい』につながる連鎖から抜け出せたばかりでなく
また別の気持ちが生まれてきたのを感じました。
感謝に繋がる別の連想と連鎖、そこから生まれてくる感動に
繋がっていきます・・・。
命の根っこ=稲 にまつわる作業を通して 流れているものに
つながった、ということかもしれません・・。


でもあの日、
作業に関った皆さん、どこかできっと同じようなものを
感じていたのではないかなと思います。
余計なものを全て捨てて、全力で関らないと
完了できないほど沢山の作業量があったからこそ、
かもしれませんが。
でも作業量ばかりでなく、
それが稲刈りでなくては
感じられないものも沢山あったと思います。

刈り取って束ねた稲穂の束は
運ぶときに抱きかかえると
なんだか温かくて愛おしいものでした。


お昼までの目標を達成(みんなのはたらきは素晴しかったですね!)して、
先発隊のにぎってくれた新米のおむすび(美味しい!)と
持ち寄りの美味しいおかずを沢山頂いて、
元気回復、再び田んぼへ。

隣の田んぼに
山田さんとご近所の方が用意してくださった立派なはざに
束ねた稲穂を運んで掛けていきます。
丸太と竹の骨組みの上に、稲束がかけられてゆくと
まるで茅葺の家のように見えたり、今にも動き出しそうに見えたりします・・。
束ねた稲は案外ずっしりしています。
田んぼで束ねる人、稲束を運ぶ人、はざに掛けてゆく人、
全員が休むことなく働いて、夕刻、ついに作業終了!

いやあ、お疲れ様〜。
全てを出し切った、達成感でしょうか。
落穂も拾って新たに束が出来るほど、余す仕事無く、みんなで
一つになって取り組めたような気がします・・。
皆さんどうも有難うございました。
そして山田さんご一家にはまたいつもの如く
沢山お世話になりました。どうも有難うございました。


付け加えると
このあと一週間、はざかけして干したあと、
岐阜のお米さんメンバーが脱穀をしに行ってくれたのでした。
どうも有難うございます。

そして稲刈りの翌日は
全身疲労で体を休める一日になりました・・。


お米さんは今年は去年より良い出来だったようです!
豊作感謝。

写真は久美のブログで
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