お盆を前にして、
改装工事をしていたY邸がようやく引渡しを迎えました。
櫛谷建築の皆さん、ご苦労様でした。
いつもながら、丁寧な仕事ぶりに感謝です。
それほど古い家ではありませんが、
小さな部屋が多く、ほぼ敷地いっぱいに建っているために
奥のほうはあまり陽の光も入らなかった元の家。
これは実測時、つまり工事前の写真。
いつも現場進行にあわせて
ここでご紹介しているのですが、
今回はばたばたとして時間が取れなかったため、
ここでまとめて時間進行にあわせて
振り返ってみたいと思います。
6月初頭、解体の様子。
キッチンと浴室など水周りの撤去中です。
家の一番奥に、
周囲の家に囲まれた小さな屋外スペースがあります。
今までは給湯器置き場としてしか利用されていなかったのですが、
ここのような奥行きが長くて両サイドの壁面が閉じられた家では
外光や風を取り入れるための
貴重なスペースになり得る場所です。
およそ一週間後。
大分解体が進み、
補強の柱も入ってきています。
この日はお施主様と一緒に家の床下に炭を埋めました。
場の雰囲気がどこかしら変わり、ほっとした気分になります。
現場の進み具合を見ながら
古建具を探しにいきます。
今回はなるべくシンプルですっきりしたものを選んでいます。
さらに一週間後。
内部工事がすんでいます。
新しいキッチン周りの様子。
奥の屋外スペースに向かって開口を大きく取り、
外に向かって開きました。
数日後。
玄関周りの壁の下地が出来ています。
ここは和室と合わせた色土塗りの壁にする予定です。
数日後。
玄関土間の洗い出し作業中です。
赤い粒粒が入っていますが、石かと思いきや
古い施釉瓦を叩いて細かく割ったもの。
なかなか表情が面白いです。
内部も下地が張り終わって
これから左官仕上げに入るところ。
数日後。
玄関から奥を見ると、
今まで存在しなかった光が射しこんできています。
・・・以前見えていたのは周囲の家の外壁のトタン板です。
敷地内に新しく壁面をつくりました。
その壁が白く塗られ、
新しく坪庭として生まれ変わった屋外スペース。
白壁はわずかな光も反射させて、
ここと室内に明るい光を導きいれます。
数日後。
新しくなったキッチン。
業務用の厨房器具を並べます。
壁面は亜鉛鉄板。
新しくなった洗面やトイレのスペース。
古建具の扉がついています。
そして引渡しの日。
完成した姿をお施主さまと一緒に確認していきます。
一番表にある
和室は縁側が撤去されて、
出窓になりました。
建物としては狭くなったのですが、
部屋全体としてのまとまりは以前より感じられるようになりました。
新しくなったキッチンとダイニングのカウンター。
臼杵さんの手になる国産漆塗りの栗のカウンターです。
ペンダント照明は昭和のアンティークガラスのシェード。
坪庭に面した濡れ縁。
小さいながらも十分な広さがあるので、ここでお茶を飲んだり、
色々と楽しんでほしいと思います。
左手のお風呂からも庭が見えます。
白壁には緑が映えることでしょう。
外観。
玄関も縁側も撤去してその分、奥に控えて
手前の屋外スペースが広くなりました。
ブロック塀もなくなり、すっきりとした印象に。
杉の磨き丸太の柱が全体をまとめています。
大工さんの手になるポストも素敵です。
外観が変わったことで、何だかお隣の緑が借景のような、
お互いに彩りを添えるような関係に変わりましたね・・。
この通りにもどこかしら何だか風情が生まれたような気がするのですが・・・。
床面積としては前より多少減ったのですが、
外との繋がりが出来てきたことで、
家としては息づかいを感じるような空間が生まれたように思います。
再生された家。
潜んでいた可能性が再編成によって姿を現しました・・。
『玄関から庭の緑が見える家にしたい』という
お施主さまの最初の一言の中に、
希望と方向性が要約され、凝縮されていたような気がします。
言葉の奥に潜んでいた希望が
この場に出遭い、
少しずつ行為になっていきながら、
くらしが形作られていくことを願っています。