現場の方は
竣工予定までそろそろ1ヶ月を迎えようとしています。
仕上げに向けての色々な打ち合わせが行われています。
今日はまず左官屋さんと壁について打ち合わせ。
各部屋のイメージや仕上げを伝えて、見本を作成してもらいます。
不自然な色合いや仕上がりは避けたいので、
基本的には素材の色を活かした仕上げでまとめていきます。
例えば、
1階の奥の部屋は薄い桃色の土壁を依頼。
桃の花が咲いている木立の中のような、
そんな雰囲気にならないか・・・と。
そのこころは・・・
この部屋にこの絵が飾られるからです。(これは原画で、本番は板絵になります。)
リスが桃の花咲く枝で戯れる姿。
ちょうどこの部屋の古材の柱が木々を想わせるように、
桃の木立の中で食事をしているような感じにしたい、と。
楽しそうではありませんか?
なぜに桃の花かといえば、
この辺りは江戸時代まで、桃の名所だったのです。
今では裏の神社に僅かに残るだけで、
周囲に面影はほとんどありませんが・・。
『桃源郷』という言葉があったり、
古の中国では神仙の実とされていたり、
不老長寿の霊薬、桃太郎・・・
桃からは何か夢や不思議な世界、
現実を超えた何かに繋がるようなものが感じられます・・・。
そういえば、
春に咲く桃の花の周りは
桜と又違う、どこかふわふわとして
夢の中のような香り、色、空気感に満ちているような気がします。
この絵を描いてくれたのは
冨山真由子さん。
染色で独自の世界を表現されている作家さんです。
他にもこの店に合わせて、作品をいくつか作って頂いているところです。
その作品からは、
現代のものとは思えないような
不思議に時間を超越した印象と魅力を感じています。
建築と一体になると又他にはない力を放つだろうと思い、
今回の制作をお願いしました。
そう、かつて絵師達が襖絵や板絵で建築を豊かなものにしたような、
そんな仕事をしていただけそうな予感がしたのです。
・・・予感は確かなものだったと感じています。
仕上がりをどうぞお楽しみに。
2階に上がると
奥の部屋では新材を使って造作が組まれていっています。
大分様子が見えてきました。
道路側の客席。
新材の中に古材の造作が組み込まれつつあります。
3階の厨房は天井が設置されました。
外部エントランス周りには
仕上げの為の下地が出来つつあります。
全く様子が変わるでしょう。
大詰めを迎えた感のある現場ですが、
お店の方は6月の最初にオープンの予定です。
これまで Iビル と呼んできましたが、
お店の名前は『一龍』といいます。
東大阪で長く営業されてきた、名の通ったお店です。
今はお休みされていますので
多くの人が新たなオープンを待たれていることでしょう・・。
竣工・オープンに向けてもうひと頑張り!