第7回のくらしのかたち展が終わった。
皆様どうも有り難うございました。
郡司夫妻をはじめとする様々な手仕事のものが上門前の家から移って
それぞれの場所ではたらき始めている事と思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
今、一説によると
一日24時間がかつての16時間くらいにしか相当しない速さで
時間が流れているそうだ。
その真偽はともかくとして、それなら分かるなあ〜と思うくらい、
めまぐるしく様々なことが日々起こってゆく。
それらがどこか大きな何かで繋がっていることなのだということを
なんとなく感じている。
影がものの一部分しか写さないように、
現象に起こることも本質の一部しか見えていないのかもしれない。
今朝、リラの散歩の際に、偶然のタイミングが重なって
我が家にフラットコーテッドの新しい家族が来ることに。
名前はbon。どうぞよろしく。
古材を見に新旭の島村さんのところへ。
希望を伝えて、膨大な量の古材の中からいくつかピックアップしてもらった分を
あれこれと話しながら使い方を検討する。
その中から次第に活かせる形が見えてくる。
古材に限らないかもしれないが、
素材がまだ見ぬ空間や場所を形作る際の道しるべになることはある。
想いの寄り代のようなはたらきをするのかもしれない。
かつては古材を使うのは当たり前のことだった。
古い家では転用された部材を見ることがよくある。
『材料費の方が人件費より高かったから』という
一見至極判り易い説明で納得するのだが、
ここで積まれた古材を見ていると、まだ生きている木の力を見て
何とか生かしたい、と感じて使っていたという部分も多かったのではないかと思う。
(審美的にはもちろん、例えば檜は実際に200年後までは強度が上がっていく。)
近くの野鳥観測所を利用したオーガニックレストランで
島村さんたちと一緒に昼食を頂く。
湖に向かってガラス張りで眺望が開け、風がよく通って気持ちのいい場所。
冬には渡り鳥や白鳥の姿も見られるらしい。
若い女性が一人で切り盛りするこのお店は、
近在の有機や無農薬の農家の野菜等を使って地産地消にも取り組む。
時にはヨガやアロマのワークショップを行うこともあるそうで、
きっと気持いいに違いない。
イベントの際には街からの人がほとんどだが、
近在からのお客さんも増えているらしい。
このあたりだと一見自然が沢山残り、環境がいいから気づきにくいのだが、
食を始めとして生き方を変える必要があるという思いの人たちは
どこであっても確実に増えているのだと実感した。
そういう動きの主体になっているのは女性の方が圧倒的に多いようだ。
身体や精神の些細な変化を敏感に感知できるから、
今ある危機を回避しようとする意識がはたらいて、
まずはそういう身近なところからの変化を試みるのだと思う。
それを命を守る為の女性の天与の能力といってもいいし、
女性性の本質の一部ともいえるかもしれない。
男性はどちらかといえば形になったものや判りやすいものに目が向きがちだが、
だからこそ例えばヨガや様々な修行という形でそういう部分を磨くためにも
様々なメソッドが伝えられてきたのかもしれない。
菜食や様々な身体技法などを日々の習慣にすると、
確かに感覚や意識は変化していくようだ。
よくその先に神秘体健などがあるのか、ということが話題に出てくるのだけど、
そのことを目的にして追うのはあまり意味がないような気がする。
個人差もあるようだし、その体験の有無が指標になると、
本質を見失う可能性があるように思う。
精神や身体の波動が粗いものから細やかになっていけば
同調するものも変わってくるので、結果としてそういうこともあり得る。
それよりその過程を通して、
『繋がり』の中に全てのものが存在している ということを
様々な瞬間において感じられるようになっていくことが大きいように思う。
その事実に気がつく事が、最大の変化なのかもしれない。
なぜなら現代社会や現代文明のシステムは、
何かを分離・独立したものとして扱うことが出来る、
という前提の下に成り立っているからだ。
だからこそ、欲望や資源を商品として
切り離して売買する発想が許容されることになる。
その前提が覆されてしまうからだ。
『繋がり』を前提にしたとき、
その中で、人間はどんな文明を創り上げることが出来るのだろうか。
所有の概念も変化せざるを得ないだろう。今世界を覆っているものとは
全く違う文明のありかたが生まれてくることだろう。
その流れはもう始まっていて、押しとどめることの出来ない流れなのだ、
ということをこのお昼の会話の間にひしひしと実感していた。
水門から勢いよく水が流れるように、新しい何かが流れ始めている。
夕方、工事を終えたO邸の離れに久美と伺う。
長い年月、西陣織の工場だった場所が生まれ変わった。
ものをつくる場所から
こころをはぐくむ場所へ。
その為の場所が整った。
有難うございました。
女性がわが身の中に命を受け入れて育むように
この場所も様々な学びを受け入れて育てていくことだろう。
この家の二人の女性と話しながら、
今、新しい時代を育てることを女性たちが様々な形で
行っているのだということ、
その為にこの場所がお役目を変えることになったこと・・・
様々なことを感じ、心に響かせたひとときだった。
有難うございました。
(bon、女性)