仕事の関係で久しぶりに九州にやって来た。
関西では目にしない形の山々がいつも印象的。
どこか広くて大らかで
狭い枠のないような空気感を九州に入ると感じる。
その感じが好きだ。
筑紫野に新しく出来るショッピングモール。
駅前だけど周りは田んぼ。
が徐々に福岡のベッドタウンになりつつあるらしい。
集落の方から見る。
ほら、周りはこんな感じ。
集落の方には田んぼの真ん中にこんな山が。
この上には神社があった。
僕らの子供の頃、
生まれ育った町がちょうどこういう状態の
次の段階くらいだったような気がする。
田畑が宅地やスーパー等に変わりつつあって、
でもまだ自然も多少は残っていて、子供の頃はこんなあぜ道や池で
ザリガニやカエルなんかをとって遊んだ。
田んぼの上を吹く風が気持ちいい。
歩いていて思わず用水路の中をじいっと覗き込んでしまった。
あれからもう30年以上も経っているが、
まだ場所によっては同じ事が起こっているんだ、
とあらためて思った。
僕が生まれ育った町には
もうこんな場所は無くなってしまった。
田んぼも池も山も全部住宅に変わって、
あの頃吹いていた風も今はない。
ここはこのままずっと
田んぼの中のショッピングモールのままだと面白い。
そうなったらある意味最先端かもしれないね。
・・・・この場所と結ばれた
ショッピングセンターのありようはどんなものだろう。
想像してみる。
まず、今のように周囲に対して閉じた建物にしない。
外周部はぐるりと各階共にテラスがあって、
周囲の田園風景を建物の中から見ることが出来、
周囲からも中の様子が見える。そんな開かれた建物がよい。
そこにはテーブルや椅子もあって、
町から来た人が田園風景を眺めてお茶を飲む。
テラス越しに作業している人と声を交わす。
このショッピングセンターでは地元の農家の作物が売られていて、
この横の田んぼもその契約農家の中の一つ。「今年の出来具合はどうですか?」
買い物に来た家族連れの子供たちが
田んぼの用水路で生き物を見たり取ったり。ここで網やかごを買える。
地元の農家の作物を使った加工食品や食材が販売され、
飲食店の食材も地元産のものが多く使われる。
農作業に向いたオリジナルの服なんかも売っている。
このあたりの休耕田畑を家庭菜園として貸し出す斡旋コーナーもあり、
家庭菜園の為の栽培法やルールを学ぶワークショップも行われている。
この場所が出来て、町の人と地元の人の間に交流が生まれた・・・
・・・そんなありかたは不可能だろうか?
そんなことを考えつつ、
こんな風景の中でも歩いている人の服装は
街中で見かけるのとほとんど変わらないのが、
なんだか不思議だった。
テレビなんかのマスメディアの力で
ここまである意味画一化された生活様式を、外見的には
どの地方の人も受け入れている。
これもある種の限定をしていることだ。
その前提の上にこういう施設は立ち上がっているのだけど。
でも今作っているものの上に成立する、
先述の空想のような新たな可能性もあるような気がする。
集落の中に面白そうな家を発見。
農家の倉庫のようなものだが、レンガ組積造の上に木造が載っている。
それほど古くはなさそうだが。
こういう技術や発想がこんなある意味普通の農家に見つかるところに
その地方独自の面白さがある。
これはやはり九州ならではの大陸の影響だろうか。
少し集落の中を歩いていると
他にももう一軒同じ形式の建物が見つかった。
なかなか格好いい。ルーツを探ると面白いかもしれない。
少し離れた道ばたで夕顔とジャスミンが絡んで咲いていた。