アイヌの口琴、ムックリの演奏家の長根あきさんが今日、
事務所にふらりとやって来た。
彼女には、ここ上門前の家のオープニングの演奏会で
ジャンベのターケン、ダンスのchokoちゃん、
私もヴァイオリンで加わって一緒に演奏してもらった。
とても澄んだ深いところから音を紡ぎ出す人だ。
「私、寿ぎ演奏家になりました。」
以前から演奏する場所で、そこの目に見えないなにかを感じることが
度々あったらしい。
どうもそれはそこに住まう精霊であったり神様のようなもので、
彼女が演奏することでとても喜んでくれるようだ、
ということが最近はっきり分ったのだという。
何年か前に私たちは御室邸という場所で、
『御室邸を寿ぐ催し』という演奏会をしたことがある。
そのときはその家を主人公に、その夜までの有為転変を綴る音楽劇を仕立て、
最後に会場の皆で御室邸に乾杯し、『寿いだ』のだった。
演奏会の後、その場所の空気が和らいだのを今でもはっきり覚えている。
家が微笑んでいた。会場の皆も繋がっていた。
彼女は上門前での演奏の際、リハーサル打ち合わせの時に、
御室邸にも出演していたターケンから出た
「つまり(演奏して)ここを寿ぐってことやな。」
と言う言葉で気づくものがあったのだと言う。
「私のしていく事を言葉にするとそうなるんだとわかったんです。」
事実、上門前でも彼女は寿いでくれて、それはとてもうまくいった。
「あの辺りにとてもいい気を感じました。今も大丈夫。変わっていません。」
彼女が寿いでいるのは場所だけではない。
そこに来ている人たちにも、
音を介して「光の種子」を蒔いているのだと言う。
見えないところのものを見える世界に降ろしてくる作業。
そのやり方は人それぞれあって、
自分にはこれが合っているのだとわかったらしい。
これからはそれにまっすぐ進んで行くと決めた。それに気づけた上門前の家を
もう一度見たくて、今日はどうやら呼ばれてきたみたいだ、と笑った。
この家にはどうやらそういう力があるらしい。
どうも有難う、長根さん。これからの演奏を楽しみにしています。
またここでも。
「寿ぎ演奏家」長根あきさんのライブがあります。
3月21日(水)春分の日 日の入りの45分前から日の入りの45分後まで
『夕日 日の入り 宵の月 ー北から来た楽器やお話 ー』
場所:
堺町画廊 京都市中京区堺町御池下がる
予約1800円 当日2000円 小中学生 1000円(お土産付き)
・・・お茶と火鉢での焼き物も出ます。