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描いた薔薇をひきつづき版にする北中さん 

北中幸司さんより、
薔薇の銅版画の途中経過が送られてきました。

なかなか見る機会のない作業工程で、
とても興味深く面白いものがあります。
ご本人の了承も得ましたので
そのまま紹介いたします。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『薔薇の銅版スケッチの続きです。

同じような時期に、やはり同じような技法で制作した他の版での試し刷りも終わり、
いよいよ薔薇の2回目以降の腐蝕作業に取りかかります。



1回目の腐蝕を終えた銅版。
左に雁皮紙のスケッチ、右にナイロン製の細筆、
その奥の紙コップにグランド(防蝕剤)が入っています。



雁皮紙のスケッチを見ながら、
銅版のこれ以上腐蝕したくない箇所に、筆でグランドを塗っていく作業です。






薔薇の白い花びらを表現するため、ここは1回の短い腐蝕にとどめます。
腐蝕が浅いと、凹部に詰まるインクが少なく、薄い色に刷り上がります。



左のバットに入った黄褐色の液が銅版の腐蝕液です。(塩化第2鉄液)
腐蝕液から取り出した銅版は、いったん中央の白いバットに移します。
右下には2回目の腐蝕に入る前の銅版を置いています。
写真には写っていませんが、傍に卓上時計を置いて腐蝕の時間を計ります。




2回目の腐蝕が終わると、次に薔薇の花芯の部分をグランドで止めます。
この段階で見る限り、葉の描線があまり出ていないようです。
なので、葉の部分はほとんど残したままでさらに腐蝕を続けます。
いっぽうで腐蝕がかなり進んだ箇所が点在しているので、グランドを塗って止めておきました。



3回目の腐蝕が終わったあとの銅版を仔細に点検します。
やはり、葉の部分が十分に出ていないようです。
おそらくスケッチの段階で、筆圧が弱すぎてグランドが剥がれ切っていないのでしょう。
まだ過渡期の技法だということを思い知らされますね。

腐蝕の作業には、思いどおりに行かないこともままあり、
それが時として意外な効果を生むこともあります。
いいほうの効果に少し期待して、
来週あたり、いよいよ印刷に入ろうと思います。
過剰な期待は抱かずに(笑)待っていて下さい。


付録として、以下の写真も添えておきます。





腐蝕液に浸かっている銅版。
腐蝕した銅が沈殿して凹部に溜まるのを防ぐため、
表の面を下に向けて浸けています。
画面に見えているのは裏面で、ここにも防蝕剤を塗っています。




腐蝕液から銅版を取り出したところ。
(素手で薬品に触れるのは本当は良くないのですが)



銅版に付いている腐蝕液を水で洗い流します。
軽く水洗したあと、画面全体に醤油をつけます。
醤油により中和され、腐蝕が完全に止まります。
最後にこの醤油もきれいに洗い流します。



洗い流したあとの銅版の水気を切るのに、
タオル、キッチンペーパーのうえに置いたところ。
作業の間、表の面には手が触れないように気をつけます。
(最初のグランドが軟らかいので剥がれてしまわないように)』


北中幸司



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


北中さん、ありがとうございました。


現場で描く という行為のみにとどまらず、
以降の作業過程が全て作品の仕上がりにつながっていくことが
よくわかります。
コントロールできる部分とできない部分のバランスや効果も
銅版画ならではの面白さなのでしょう。



様々に変化していく作業工程を見ていると、
どこか生物の生長を見ているようにも思えます。
変態していく昆虫とか、植物とか・・・。

生物の生長はそれが
自ずから発現してゆく生命の内的な衝動によって
進んでいきますが、
作品の制作では、
その衝動が作り手の内面にありながら、
それが外部の物質に加えられて、変化し進んでいきます。
生命がそこに流れ込んでいっている、
ともいえるかもしれません。

・・・何かをつくる という
人間の行為って、とても、何だか驚異的に面白いですね。


北中さんの制作過程から、
そんなことを感じました。



仕上がり、楽しみにしています(笑)。


















| 北中さん 薔薇を描く | 10:10 | - | - |
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