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光と鳥
和歌山の友人Nちゃん一家が住むことになった
古い家を久美と見に行く。

彼女は家族四人でそこに住み、
シュタイナー保育を行う場所にしたいという。

その家は田畑に囲まれ、東側に川の流れるそばにあった。
畑の向こうにはなだらかに続く山も見える。
古くから人が住んで土地と共に生きてきた場所。
今は少しずつ宅地にもなり、
周囲には自動車道や工場も見える。
それでもまだ古くからの土地との関わり方の気配の方が濃厚だ。



陽だまりの中庭を囲むようにL字型に平屋の建物が建つ。
正面は住まいで右手は農具小屋、作業場といった風情。
低めの軒が長く伸びて好ましい。



母屋と作業棟の屋根が
谷を作って一体になっているのが気になる。
雨仕舞いを考えると禁じ手のような造りだがどうしてだろう。
大工がそのことを知らないはずはないから
わざわざこういう造りにしたということになるが、
どういう理由だろうか。
来る道すがらにも全く同じ形の家があったようだし、
近在の江戸時代の大庄屋の建物もこれに近い形だから
この地方固有の形式かもしれない。

・・・似たような屋根の繋がり方の民家を
撞木造り(しゅもくづくり)と呼んで、
もと九州東北部から壱岐対馬一帯に住み、
瀬戸内海から東進して各地に広がった海洋民族である
安曇(あずみ)族の固有の形式としている本もある。
(『民家の来た道』川島宙次著 相模書房)
母屋と火を使う調理の場である釜屋を分けながら
屋根を接続して建てる形式で、安曇族が各地に進出した先に
残しているそうだ。紀州にも来ているから、
その形が代々受け継がれて残っていたのかもしれない。
火を使う場所を離すのは採暖に利用する必要が無いからで
そもそものルーツは東南アジアの諸地方から伝播されたものと考えられ、
インドネシアのトラジャ族にも同じ形式の家がある・・。

この家が建ったのは60年ほど前だそうだ。
その後、釜棟の前にあった井戸も取り込んで
南に増築して今の形になった。
井戸を屋内に取り込んでしまったのは
湿気や冷えの元になって失敗だったのではないか。
増築部は倉庫と牛小屋と便所になっていたらしい。



家を見ているときに大家さんに出会い、
この家にまつわる様々な話を聞かせてもらう。
大家さんは不思議な雰囲気を持つ人。
周りの畑で大きな美味しい野菜を沢山つくっている。

平屋には不釣合いなほど
良い材の大きな柱や差し鴨居、丸太梁を使って組み上げられたこの家は
雨漏りを除けば今でも随分しっかりしている。
この家を建てた大家さんのお義父さんの個人的な思いとは別に、
全うすべきお役目があったような気がしてくる。

大家さんが畑から収穫した野菜を
久美たちにどんどん持ってきてくれている間に
家の実測を行う。
場所場所に残った思いや情報があって、
大家さんとの話がそれを裏付けてくれる。
周っているうちに、
どこをどう直していけばよいのか、自然に見えてくる。
残すところと変えるところ、取り除くところ・・・。
新しくなった場所で子供たちや大人たちが、
様々に動き、話している様子が浮かんできた。


実測が終わって外に出ると
大家さんの収穫も終わり、皆の方へ行くと鳥が一羽
よく響く声で鳴いて、家の上を飛んでいった。
Nちゃんが作ってきてくれたお弁当を広げて
家の傍らで畑を見ながら、三人で話す。
大きな鳥が一羽、飛んできて川向こうの工場の屋根にとまって
こちらを見ていた。
Nちゃんの夢の中にも大きな鳥が飛んできたという。
陽だまりの中、なんだか安心して素直な気持ちでそれぞれの想いを話す。
未来への想い。
T先生の『想いが陽で行為が陰です』という話を思い出していた。
物質的なことに焦点をあわせて生きると光を見失う。
物質は影だから、それをもたらす光の方からものを見ること、
行為すること・・・。

彼女のすぐそばでその実践を始めた人の話を聞いてうれしくなる。
ありがとう。

大きな流れ、
ぼくらはそのところどころを感知できるに過ぎないけど、
はっきりと存在していて、その中にいる。


家に帰ると
今ウィーンにいる古い友達から
星と鳥が届いていた。











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