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絵画教室の町家 3
 
さて、そんな工事もいよいよ完成が目前になってきました。

2階の床をモップ掛けする施主ご夫妻。
この部屋の壁の左官仕上げも自力施工!なかなかの仕上がり。



この部屋の床板はもと上敷きが敷いてあったものを外して
その粗い質感を楽しみたい、ということになりました。
そんな床板も使い込み、モップがけを繰り返していくと
次第にその表面が磨かれて柔らかな表情になっていきます。
その過程も又楽し。



2階。床板を張替え、別の場所にあった建具を移設。
面目を一新、素敵な空間になりました。
家の傾きなどが直ってすっきりと、安心感のある印象に戻り、
落ち着いて居ることができます。



こちらは1階。
床を張り替えて同じく古建具を移設しています。



シナベニヤの壁に既設の欄間、古建具を移設し、
畳とベニヤ床を取り合わせた室内。
この一見、とりとめのないような新旧の取り合わせ具合を
楽しんでいるお施主さまの姿に
アーティストらしい自由さを感じます。

こうでなければならない、
という型や枠や決まりを外したところに
ファンタジーの生まれてくる余白や余地があるのでしょう。
またそういう環境をつくって、
そこに身を置くことこそ
このような人たちには必要なのかもしれません。

今この家にはそういう余地が
沢山生まれているのを感じます。
ここからどんな新たなファンタジーが生まれてくるのか、
とても楽しみです。


外観の仕上げが終わると
この工事もいよいよ完了します。

もうひとがんばりですね。
わびすけ塗りの自力施工、
よろしくお願いしますね、東儀さん。








| 『絵画教室の町家』 | 23:59 | - | - |
絵画教室の町家 2

ファンタジーが現実にはどんな展開をしていったのか、
具体的な改装の様子を少し見ていきましょう。
施工は櫛谷建築さんです。

改修前の室内の様子。



よーく見ていると何だかおかしいところがありますね。
そう、向かって右の方が下がっているのです。
さらに柱を見ると左に向かって傾いています。

右隣に駐車場があるのですが
そちらに地盤がこちらよりも1mほども高くて
水が流れ込むのを避けられないこともあって、こちらの柱の足元が
傷んでいったことで下がったと考えられます。
その影響と内部のあちこちが数度改装されたこともあって
左の方の柱が傾くような影響が出てきたのでしょう。



2階の様子。
少し解体していますが、
屋根の野地板が傷んでいたり、先の影響があちこちに出ています。

そうした傷みや不具合をまず直すこと、が
この家には何より大切なことでした。
その方針の下、改修工事が進んでいくことになりました。




解体後の1階の様子。
左側が駐車場のあるほうですが、
こちらがわで10cm近くも下がっていました。



2階。
瓦も下ろしてこれから傷んだ屋根の下地を補修していきます。


瓦が下りて軽くなったところで、1階をジャッキアップ中。





家を持ち上げた状態で基礎の配筋を行っています。



仮の支持材が室内に組まれて柱を持ち上げている光景は
かなり不思議な印象で、
ちょっとアート作品のようにも見えました。



左の方に少し見えているブロックは隣地の土留め。
かなり地面が高いのがわかります。
この状況に対応するには
こちら側も新しい基礎を高く造る必要があります。




基礎が出来たところ。
沈んでいたのが直りました。

・・と、並べると簡単に進んだように見えてしまうかもしれませんが
もちろん並大抵のことではないし、
それなりの時間もかかっているのは言うまでもありません。
櫛谷建築の皆様、ご苦労様です。有難うございます。

このあたりの様子は日々作業の進捗をそばで見ていた
お施主さまの記録がわかりやすいと思います。 ⇒『京町家改修きろく』

自力施工にもいくつか挑戦されていますが、
さすが版画家、アーティストらしく
器用に、またどこかひょうひょうと軽妙に
こなされていく様子が何だかほほえましいです。
楽しそうなのが何よりいいですね〜。

こうして、
人と家との関係が新たに結びなおされていきます。


(つづく)

 
| 『絵画教室の町家』 | 22:49 | - | - |
絵画教室の町家 1



伏見の方で今、町家の改修工事が完了しつつあります。

築120年ほどの町家は
画家であるご両親の代から、住いであると同時に
そのアトリエとして、
また絵画教室としても使われてきました。

版画家である息子さんご夫妻が
老朽化の進んだその家を一度改修して、
再生しようと決意し、
うちに相談に訪ねてこられたのは、もう一昨年のことになります。

その間、色々紆余曲折がありました。
規模も大きく、又大掛かりな補修の必要な箇所も多く、
外観を保存するための補修に対する補助金を受けることが
出来そうだったー結果的には受けられましたがーのですが、
当初の施主の希望的な構想を行うには
予算面から、何度かの軌道修正が必要でした。

しかしその過程で楽しいエピソードも生まれました。
『ストラディバリウス狂想曲』(笑)と、
私は密かに名づけていますが、
画家でもある施主のお母様の奏でたこの小曲は
忘れがたい、又、ほほえましい思い出になりました。
と、同時にそこに画家という、
一つの世界をうみだす人のファンタジーも垣間見た気がします。

画家達の家族の住いとアトリエであった町家には
そんな様々なファンタジーが一杯詰まっていました。
形になったもの、なっていないもの、孕みつつあるもの、
などなど、様々含めて。
家はもうはちきれそうになっていたのかもしれません。

印象的な鳥の絵を沢山描かれていたお父様が逝かれて、
鳥達は実際に飛び立ちたくなったのでしょうか。
満ち満ちたファンタジーは、
自由の空へと飛翔し、還ってゆくかのように放たれ、
家は又新たなファンタジーを受け入れる器として、
舞台として、蘇る・・・。
私には今回の一連の改修の流れがそんな風に映ります。
これもまた、画家の仕掛けたファンタジーなのかもしれませんが・・。


(つづく)
| 『絵画教室の町家』 | 21:17 | - | - |
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