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引き継ぐこと

昭和30年代に
建てられた木造2階建の住宅を改修する工事が終わり、
今日無事に引き渡しが出来ました。施工は櫛谷建築さん。
ごくろうさまでした。

長く、大切に住まわれてきたことの
感じられるたたずまいの家。
住まい手側の折々の手入れや修理と相まって、
家自体もしっかり造られており、
工業製品が出回る前の色々な工夫もあって
往時のよき手づくりのこころを感じさせるような家でした。
住まい手の方も、手入れして長くもたせていく、というのが普通
という考えで、この家に暮らし、関わってきたであろうさまが
どこからか伝わってきました。

新たな住まい手に移って、
そのよさを引き継ぎながら、
いくつか新たな形に直しました・・。

玄関は




後からつけられたものであろう
アルミドアになっていましたが・・




大谷石の上に壁を新たにして、
イギリスのアンティークドアを設置。
革を巻いた鉄製の引手も制作。外灯は真鍮製の船舶用ランプに交換。



居間であった和室
(炭式の堀炬燵がいい雰囲気でしたが)は






壁を隔てて隣にあった厨房と



壁を壊してつなげることに・・



2階床梁を差鴨居で受け、新たな位置に柱を立て直します。

椅子とテーブルを使うので、床は杉板張りに変えました。






建具も入れ替えて雰囲気を新たに。
古建具で見つけた帯戸(収納側)と入れ子障子付の格子戸(廊下側)。

洗面などの水回りも手を入れています。
タイル貼りの洗面から・・




檜板張りに。



手を入れることで
時を経ても引き継いでいくことができる、家。

個人のものではなく、
また誰かが住み継いでゆく、
共有のもの
と考える方が事実に即しているように思います。





改修が終わって、
新たな光が射し込みました・・。
















 
| 『町家改装』 | 13:02 | - | - |
ととのう

先日壁の白く塗られた家の工事が
終わりました。

植栽が入って庭が完成し、
この場所に潤いが生まれ、
また奥行が増した感じがあります。



壁に映る光の動き、
雨に濡れた石や葉の様子、
葉や枝の風に揺れるさまは見飽きないものです。
部屋の中を風が抜けていきます。



障子を閉めたところ。
また違った表情と雰囲気です。
和紙を透かした光は柔らかく、和みます。

右手に古建具を入れた新設の収納があります。
幅が狭くて有効に機能していなかったトオリニワを
部屋内から使える収納にしました。

障子と外の建具は、壁の前に引きこめるので、
庭に向けて全開放できます。




塀足元の大谷石に砂利や植栽がよく映えます。
縁側も新しく直って清々しい印象です。

それほど広くはありませんが、
木を植えて庭をつくったことで得られたものは
とても大きなものだと思います。

大地に根差し、
天に向かってのびてゆく植物のいのちの様子、
雨や風に乗ってくる、いのちの循環のさまを、
くらしのいとなみの場のすぐそばで、
いつも見て感じることが出来ること。
人のいのちもその流れの中にあることを
無意識に感じ、確認して、安心するのかもしれません。


もちろん、こうした場も、
建築がきちんと整ってはじめて
日々のくらしのいとなみの中で生きてきます。

この家には何か縁があって、
違う住まい手のために2回、改修に関わってきました。
こういうこともなかなかないことです。感慨深いです。
前には手を入れられなかったところが
今回ととのった感もあり、
もしかすると家に呼ばれたのかな、とも思います。

引き渡しのときにお施主さまが
「何だか(工事に関わっている)みんなの家みたいですね」
と言われていましたが、
確かに、それぞれに想いのある家です。
よいかたちでまた関わることが出来て本当によかった。

2回の工事を施工してもらった櫛谷建築さん、
丁寧な仕事をどうもありがとうございました。
庭をつくってもらった宮川庭園さん、
どうもありがとうございました。


新しいくらしの場がととのいました。




















| 『町家改装』 | 10:35 | - | - |
整ってゆく時間
 
この夏、
1ヶ月間工事を行っていた住いの改装が
無事に完了し、引渡しがありました。
櫛谷建築さん、ご苦労様です。
有難うございました。

改装前の様子。



こんな風に変わりました。



奥は洗面室と浴室になっています。
以前は浴室周りの構造部が水の影響で傷んでいました。
古い家では大抵そうなっています。
そういう部分はこれくらいの範囲まで改装する時でなければ
直せません。




構造部も直して、仕上げも新しく変わりました。



・・随分変わりましたね。
サッシも木製建具になり、キッチン壁面もタイルから亜鉛鉄板に。



かつては二部屋に分かれていたところが一体になりました。
垂れ壁と差鴨居で上部の補強を行っています。



かつての押入れもすっかり様相を新たにしました。
帯に花柄の切り抜き模様が入った古建具が
斜め向かいの脱衣室側と対になって、どこか和やかな印象。
暮らしの場が整ったようです・・・。


どんな物件でも竣工に至るまでには
大なり小なり、
様々な問題や紆余曲折があって辿り着きます。

すぐに解決できるようなものもあれば、
時間のかかるものもあります。
内容も様々です。

解決のためにかかる時間は
その問題そのものばかりでなく、
出来上がりに至るのに必要な諸々が揃っていくために
かかっているようにも思えます。

その時間があったからこそ、見直せたり
見えてきたりすることもあります。

又その間に考え方や
家族の状況や諸条件が変わっていくこともあります。

物理的には進行が止まっているような時間の間にも、
実は見えないところでは何かが変化し、
解決へと進んでいることがたくさんあるのだと感じます。


ここの改装の時にも
そんな過程を経ていきましたが、
そこから見れば
何も無駄なことはなかったと思えます。

それらは全て、
場が整ってゆくために必要な時間・・・だったのでしょう。


これから
ここでのくらしが明るさと豊かさに満ちたものになりますように。
平和がこの家にありますように。


| 『町家改装』 | 03:17 | - | - |
再生

お盆を前にして、
改装工事をしていたY邸がようやく引渡しを迎えました。
櫛谷建築の皆さん、ご苦労様でした。
いつもながら、丁寧な仕事ぶりに感謝です。


それほど古い家ではありませんが、
小さな部屋が多く、ほぼ敷地いっぱいに建っているために
奥のほうはあまり陽の光も入らなかった元の家。
これは実測時、つまり工事前の写真。

 

いつも現場進行にあわせて
ここでご紹介しているのですが、
今回はばたばたとして時間が取れなかったため、
ここでまとめて時間進行にあわせて
振り返ってみたいと思います。


6月初頭、解体の様子。
キッチンと浴室など水周りの撤去中です。





家の一番奥に、
周囲の家に囲まれた小さな屋外スペースがあります。
今までは給湯器置き場としてしか利用されていなかったのですが、
ここのような奥行きが長くて両サイドの壁面が閉じられた家では
外光や風を取り入れるための
貴重なスペースになり得る場所です。


およそ一週間後。



大分解体が進み、
補強の柱も入ってきています。
この日はお施主様と一緒に家の床下に炭を埋めました。
場の雰囲気がどこかしら変わり、ほっとした気分になります。


現場の進み具合を見ながら
古建具を探しにいきます。
今回はなるべくシンプルですっきりしたものを選んでいます。




さらに一週間後。



内部工事がすんでいます。
新しいキッチン周りの様子。



奥の屋外スペースに向かって開口を大きく取り、
外に向かって開きました。


数日後。



玄関周りの壁の下地が出来ています。
ここは和室と合わせた色土塗りの壁にする予定です。


数日後。



玄関土間の洗い出し作業中です。
赤い粒粒が入っていますが、石かと思いきや
古い施釉瓦を叩いて細かく割ったもの。
なかなか表情が面白いです。



内部も下地が張り終わって
これから左官仕上げに入るところ。


数日後。
玄関から奥を見ると、
今まで存在しなかった光が射しこんできています。






・・・以前見えていたのは周囲の家の外壁のトタン板です。
敷地内に新しく壁面をつくりました。
その壁が白く塗られ、
新しく坪庭として生まれ変わった屋外スペース。
白壁はわずかな光も反射させて、
ここと室内に明るい光を導きいれます。


数日後。



新しくなったキッチン。
業務用の厨房器具を並べます。
壁面は亜鉛鉄板。



新しくなった洗面やトイレのスペース。
古建具の扉がついています。


そして引渡しの日。
完成した姿をお施主さまと一緒に確認していきます。



一番表にある
和室は縁側が撤去されて、
出窓になりました。
建物としては狭くなったのですが、
部屋全体としてのまとまりは以前より感じられるようになりました。




新しくなったキッチンとダイニングのカウンター。
臼杵さんの手になる国産漆塗りの栗のカウンターです。
ペンダント照明は昭和のアンティークガラスのシェード。



坪庭に面した濡れ縁。
小さいながらも十分な広さがあるので、ここでお茶を飲んだり、
色々と楽しんでほしいと思います。
左手のお風呂からも庭が見えます。
白壁には緑が映えることでしょう。



外観。
玄関も縁側も撤去してその分、奥に控えて
手前の屋外スペースが広くなりました。
ブロック塀もなくなり、すっきりとした印象に。
杉の磨き丸太の柱が全体をまとめています。
大工さんの手になるポストも素敵です。
外観が変わったことで、何だかお隣の緑が借景のような、
お互いに彩りを添えるような関係に変わりましたね・・。
この通りにもどこかしら何だか風情が生まれたような気がするのですが・・・。

床面積としては前より多少減ったのですが、
外との繋がりが出来てきたことで、
家としては息づかいを感じるような空間が生まれたように思います。

再生された家。
潜んでいた可能性が再編成によって姿を現しました・・。

『玄関から庭の緑が見える家にしたい』という
お施主さまの最初の一言の中に、
希望と方向性が要約され、凝縮されていたような気がします。
言葉の奥に潜んでいた希望が
この場に出遭い、
少しずつ行為になっていきながら、
くらしが形作られていくことを願っています。








| 『町家改装』 | 22:51 | - | - |
竣工
 京都市内で去年から工事をしていた
町家の改装が竣工し、
今日、無事に引き渡しの日を迎えました。
お施主様に喜んで頂けたことが、何よりうれしいこと。
手間のかかる工事を
最後まで丁寧に仕上げて下さった
櫛谷建築さんにも感謝。

築60〜70年くらいのこの建物、
長い年月で柱・梁も多くが傷んでいたので、
差し替え、根継ぎとかなりの補修を行いました。

古い町家ではつきものなのですが、
一体の基礎がない為に、
当初、場所によってはかなり沈んでいるところ等もあり、
ジャッキアップなどでかなり補正してもらいました。
建物の歪み、倒れ等も合わせて補修。

・・・言葉で書くと簡単なようですが、
上記の仕事の手間は相当なものです。
一般的にはやらずに済ませてしまうことも多々あります。
そこに加えて、
『ゲンチク』などの理由から
梁を架け直したり、
補強の小屋梁を加えたり、
構造補強の為の壁が増えたりしたので
通常の新築より手間がかかっているかもしれません・・・。

『ゲンチク』とは『減築』のことです。
「増やす」より「減らす」ことでかえって、
その建物や場所が活きることがあるのを
いくつかの物件から実感しています。

お施主様の希望する生活のシーンや好みが
はっきりしていたことも
設計や工事全体をまとめて導いてゆく際の
大きな力になりました。
現場で木部の塗装もされましたから、
作業を通じて家との関係も
きっと親密になったことでしょう・・。

そんな家を少しご紹介。



玄関を入ると奥行きのあるアプローチ。
疲れて外から帰った際も
ここを進むうちに気分が切り替わることでしょう。




カウンタ―キッチンのあるリビング。
庭が見えています。




キッチン。料理をしながらカウンタ―越しに
家の人やお客さんとも話が出来る配置。




和室。元は別の部屋にあった天井板を再利用しています。
古材を使って,地板や欄間をつくりました。




窓の外の空へ、
光へ向かって上がってゆく階段。
緩やかな勾配にしたので、
上り下りの際の気持ちに余裕やどこか優雅さを
感じてもらえるのではないでしょうか。




腰掛けのある2階の出窓。
本を読みながら、
ここで昼寝しても気持ち良さそうな・・。




ライブラリー書棚脇の手すりは一部が腰掛けに。
調べものしている際、ちょっと読みたくなったら
その場ですぐに腰掛けて・・。




もう一つ、出窓に造り付けた小さなデスク。
正面の窓からはお隣の庭の木が見えます。


見違えるように生まれ変わった家で、
楽しい暮らしが展開されていくことを願っています。

ありがとうございました。






| 『町家改装』 | 07:54 | - | - |
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