京都では昨年、
建築基準法が新しくなったことと、
景観条例が新しくなった影響で、
新築の着工数が記録をとり始めてから一番少なかったらしい。
京都の建築業界は結構大変なようだ。
新築が少なくなった分、古い家の改装が増えていないだろうか。
もしそうならば、
この条例は間接的にも景観を守るのに役立っているかもしれない。
法律の状況とは関係なく、
以前からうちの事務所は古い家の改装の設計は多い。
古い家には新築では造る事のできないものも沢山あるので、
それに敬意を払って、うまく継承できれば、
新築以上に豊かな場所が生まれる可能性がある。
料理教室の生徒さんで、くらしのヨガの仲間でもある
YYさんの実家の建物を直すことになった。
ずっと西陣織の工場として使われてきた建物で築80年近いだろう。
平屋で土間床の建物。糸の色を見るための天窓からきれいな光が差し込む。
工場として造られたので飾り気は無いが、
丸太の梁組みの見える空間は高すぎず、伸びやかで
何だか好ましい雰囲気がある。
ここを家族や人々の集える場所にしたいという。
ずっとご家族でものづくりをされてきた場所だから、
人が集ったときにも何かが生まれる場所になるだろう。
・・・それは目に見えないものかもしれないが。
この雰囲気を受け継ぎながら、
構造的な補強も加えて新しい場所になるよう設計した。
工事は先代からこの家や近隣の工事をされている工務店がする。
工事はきっと手間のかかるものにはなるだろうが、
今までの家の変遷の経緯を知っているというのは心強い。
どう変わっていくか、楽しみだ。