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聴こえないが 聴いている音を 響かせる  〜 風の歌
 
 聴こえないが 聴いている音を 響かせる 

            〜 風の歌

なんだか長いタイトルですが、
この人たち(風の歌)の歌を初めて聴いたときの
私の印象です。

数名での合唱です。
よく知られている曲を歌っていますが、
今までにない感覚を体験します。

知っているメロディ、
その知っている音の中から響いている知らない音。

初めて実音として聴くのですが
一方で、既に知っているような感覚もあります。

その音が重なりあい、
響き合いながらも、音同士の間を感じさせて
膨らんでゆく・・・。


そしてその響きを聴いていると、
出会いたかったが出会えずにいたものと
出会ったようなうれしさや、
把握したかったのに把握できなかったものに触れたよろこび
のようなものも覚えます。

光がプリズムを通って
色々な色に分かれるように、
立ち現われてくる、一つの音の中に含まれている響き。

それは、平面的ではなく
何かホログラフィックな体験です。

私は初めて聴いた時は
何だか体が透明になって、その周りで立体的に音が響いて
一つの音像、空間のようなものをつくっているような、
そしてそれがまた自分の体そのもののような、
不思議な感覚を覚えました。

未体験な音楽体験なのですが、
どこか深い記憶では知っているような、
そんな体験でした。


このグループを主催されている
鍋島くみこさんにお会いしてお話を伺う機会がありました。

合唱の際には

『お互いの声を聴き合って、自分の透明な声を響かせている』

のだそうです。

他にも興味深いお話をたくさん伺いました。

そこには音楽を通して体験されてきた
人や世界についての新しい認識が含まれていて
とても面白かったのですが、
何よりこの音をやはり生で体験してみたい、と思います。
(私もまだCDでしか体験していませんので、楽しみです!)


普段は東京をベースに活動されていますが、
この夏に関西での公演があります。

残響時間も吟味して選んだホールでの
生音での体験は楽しみです!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「風の歌」コンサート@滋賀県フィガロホール

2012年7月7日(土)
13:00開場 14:00開演
ウェルカムドリンクつき
(公演時間 約1時間30分)
前売り3,500円 当日4,000円


お申込み
info@wing-of-wind.com
(響奏の吟遊詩人 風の歌 事務局)

または

hito-mi@leto.eonet.ne.jp
(風の歌 7/7のコンサート実行委員会)


上記宛に

7/7コンサート希望とお書き頂き、
ご連絡くださいませ。
折り返し詳細をご連絡させて頂きます。


フィガロホール 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

響奏の吟遊詩人 HP 

ゆりかごのうた 

  

  

















| - | 16:34 | - | - |
風景をつくる
 
緑の美しい季節。
現場の周りも木々が美しく陽を浴びています。

木漏れ日や緑陰の気持ちよさ。
庭のスペースの広いこの現場にいると
そんなことを感じる場所やひとときが沢山あります。


先日来、工事していた石の柱の間は
壁面の下地が
出来上がってきました。

手前では池を造成中。



外の小道から見たところ。
仕上がりまでもう少しです。
今はグレー一色ですが、
完成までにはもう一工夫、二工夫あるのです(笑)。



木々の間を抜けるこの小道は気持ちの良い通りになるでしょう。
右手の植栽ももう少し整えられて、
庭の中を通り抜けてゆくような雰囲気になるはずです。

ここに新しい風景をつくっています。

つくられてゆく私有のものが、
周囲の環境の美しい部分と調和していこうとすれば
新しい美しい環境が生まれてきます。

できあがったものは道行く人々のものでもあり、
周囲と一つながりになって新しい環境を生み出すものになって、
所有の区分などは、
実際には軽々と越えて存在しています。


以前、ここは
右手の飛び地の方も木々が放置されていて、
道に積年の落葉が積もりに積もったような、ちょっと暗い通り抜けでした。

『今、暗い通りやから、きれいに植栽もして名所になるくらい
気持ちいい小道にしようや!』

という、
建築主の気持ちの良い、決断の一言が
こういう形が生まれてくる契機となりました。
つくるのに関わる皆も元気が出てくるような言葉です。




塀は内部の庭の背景にもなります。
京都の古い家に行くと、座敷からつながる庭があり、
その背景に庭の一部のように調和した塀があるのを見かけます。

ここでも室内から庭は一つながりになっていて、
庭や塀は建築と切り離せない一つながりの関係をつくっています。

仕上がれば、庭の一部のように
周囲の植栽などに馴染んだ表情を見せてくれると思います。





敷地内の古い土蔵の修復中。
はがれかけていた漆喰を落とし、下地の土壁から塗り直して
仕上げ塗に入っています。
2月頃から作業していますから、もう3か月ほど。
ようやくここまで仕上がってきました。しかし直すと見違えるほど、
しっかりとしたものになりますね。


屋内では
造作工事が進んでいます。







美しい曲線。 







シンプルですが美しい階段が出来上がってきていました。

タモの無垢材で、また部材が大きいので、
後々の反りなどを考慮し、
さらに曲線の加工などもあって、
とても手のこんだ大工仕事になっています。

ごくろうさまです!




























| 『 O project 』 | 11:06 | - | - |
薔薇を描く北中さん 続き
 
昨日に引き続き、
上門前の庭に薔薇を描きに来てくれた北中幸司さん。

今日は少し肌寒いですね。
5月も2週目なのに4月上旬くらいの気温だとか。
竜巻があったり、なんだか変な天候です・・。

朝のうち、少し雨が降りましたが
時間になると晴れてくれました。



モチーフになっている薔薇は
他の花と比べて、少しなんだか緊張?気味、な感じ・・。



今日一日、しっかりしてないと、という気が
花をピンとさせているようです。




昨日の紹介ではブリッジの使い方が少しわかりにくかったですね、
と北中さん。
こんな風に使っています。

画面をまたいでいます。ほんの少しの圧がかかっても
画面に影響が出てしまうとか。

とても繊細な仕事ですね。


昨日と同じ定位置について
続きを描き始めます。




静かな時間・・・。


集中している表情だけ見ていると
わかりませんが、一番いい位置で見るために
かなり不自然な姿勢で座っています。(写真がなくて残念!)






ブリッジを使っている様子がわかりますね。

右手で鉛筆に圧をかけながら、
同時に画面を支えている左手でも下から押し返して
圧をかけているそうです。
ほとんど無意識の行為だそうですが・・。

それを聞いて、
なんだか楽器でも弾いているような感じだなと
思いました。

バイオリンを弾いているときも
体のあちこちでそういう微妙な力加減をしています。


楽器の生演奏のように絵を描く。
『スケッチ』という行為には、そういうライブ感があるようです。

アトリエの中で絵を描いていく作業を
音楽のスタジオ録音のようにつくりこむ作業だとしたら、
スケッチはまさにライブ。一度きりの生演奏です。

そしてそれを版画にするという部分が
ちょうど録音にあたりますね。
再現性、という意味では
銅版画の原版を屋外に持ち出して
スケッチするという行為が、
ライブ演奏の録音を可能にしたわけです。






出来上がりました。

写真では十分写っていませんが、
とても繊細で美しい画面。
本物以上に本物らしい、エレガントさ・・・。

肉眼でもあまり見えないけれど描きこんでいる線もあるそうです。
それは版画にしたときには再現されるとか。

刷り上がりがとても楽しみです。


この季節は屋外でのスケッチが忙しくて、
しばらく版にする作業はおあずけだとか。

花の季節が落ち着いた頃に、
仕上がりを目にすることができるでしょうか・・・。


北中さん、どうもおつかれさまでした。
ありがとうございます。


庭の薔薇たちも描いてもらえてうれしそうです・・。

































| - | 03:58 | - | - |
薔薇を描く北中さん
 
先日、安部太一さんの展覧会に来てくれた北中幸司さん。
どことなく雰囲気の似た(偶然、お揃いの服装!)二人が
語り合う様子は、ものづくり同士の楽しげな様子でした。

その時、庭の薔薇を見て
せっかくだから描きに来ましょうか、と
北中さん。
薔薇は普段あまり描くことがないようです。
うれしいな〜。
どうなるのか、楽しみ。

去年はこの庭で、
上門前の家での展覧会のためにベル鉄線を描いてくれました()。
暑い時期だったのですが、
今回はその時より、屋外スケッチにはいい日和です。




どの薔薇にしようか。



上門前の庭の白い薔薇は原種に近くて、椿のようにも見えます。
どうもこちらがお気に入りのよう。



いい具合に咲いている花を選びます。



道具が並びます。

今年になって少し技法を変えた北中さん。
それによって、今までは表現できなかった描線が描けるようになったとか。

例えるならば、

『フォルテやフォルテッシモだけだったところに、
ピアノやピアニッシモが入ってくるわけです』

と、本人の言葉。

強弱の幅が広がると、表現はずいぶん広く、深くなるでしょうね。



モチーフに合うサイズの原版を選びます。



持って行って合わせてみる。
・・・う〜む、どれがいいかな。




手前に重ねているのは
原版に手がつかないようにするためのブリッジ。

画面に圧がかかるとそれがすべて写ってしまうので
細心の注意が必要なわけです。



気持ちよくピンピンに削られた鉛筆。
9Hという薄くて硬いものから、Hくらいまで揃っています。

今までは紙が厚かったので筆圧が必要で9H程度しか
使えなかったのが、
今年になって雁皮紙という薄い紙を見つけたので、
筆圧を減らすことができるようになり、
描線のタッチの変化が付けられるようになったそうです。
作業時間も前より長くすることが可能になったとか。
確かに力を入れながら、集中して描くのは
精神的にもかなりの重労働のはずです・・。

作業条件が随分変わって、
表現はさらなる自由さを獲得したことでしょう。
これは作家にとっては、素晴らしい進歩ですね。




・・で、思わず笑みがこぼれる北中さん(笑)。
まあ冗談はさておき、原版のサイズも決まったようです。




構図を決めます。






・・・もうここからしばらくは私たちの関われない時間。
いってらっしゃい。


かくして数時間。

今日は花だけを描き上げました、と。





繊細な描線と表現に思わず感嘆の吐息。
描かれているモチーフの実物の花以上に
薔薇らしさが伝わってくるような・・・
何でしょうね、これは。

写真でどれくらいわかるかな・・。


明日は続きの葉を描きに来てくれます。


深く集中し緊張した後の
解放を楽しむような、とてもいい笑顔を見せて、
北中さんは
帰路についていきました。


ご苦労さまでした。




明日もよろしくお願いします。







































| - | 16:01 | - | - |
安部太一 陶展   最終日
 
いよいよ今日が最終日となりました。

朝の光の中、たたずむものたち。





マットな質感とマチエールの上を光が廻ります。
葉や花のいきいきした印象をひきたてます。

朝、こんな光景を目にするとはっとします。
その日のはじまりがいきいきしたものになり、
その余韻は一日を豊かなものにしてくれます。

窓のそばに一つ置いておくことから、
そんな体験が生まれます。




ふくらむ まわる ・・そんなさまを 
形を通して目にしたときに
私たちは目に見えないが感じているものを認識します。

そのことを美しく示してくれるうつわは
とても素敵です。
ここにはそんなうつわたちが並んでいます。

美しいと感じたら、
次の行為の始まりが楽しくなります。




何かひかれるもの、共感するものがあるときには
そこに、あなたの中にある可能性を見出しているのかもしれません。
今のくらしの中に、
それにあてはまるものが見つからなくても、
出会ったうつわがその可能性を
かたちにしていってくれるきっかけを
与えてくれるかもしれません。

共鳴しあう もの や こと が集まってきます。

それに出会っていくきっかけになるかもしれない。
安部さんのつくるものにはそんな魅力があふれています。


今日はいい天気になりました。

上門前の庭には花が咲いています。

アーチになったつるばらのしたでお茶を。



安部さんの作品を見て、そこから感じるものを
味わいながら、庭でたたずんでいってください。


安部さんの作品がくらしにあたえてくれる可能性に
想像をめぐらせながら。







今日が最終日です。

どうぞお越しください。



安部 太一 陶展 ーsymphony−


場所 上門前の家 森田建築設計事務所

2012年5月5日(土曜日)〜8日(火曜日)四日間
open 12:00−18:00









| くらしのかたち展 | 07:35 | - | - |
安部 太一 陶展 ーsymphony−
 
 


いよいよはじまります。
上門前の家で行なわれます。

安部 太一 陶展 ーsymphony−


場所 上門前の家 森田建築設計事務所

2012年5月5日(土曜日)〜8日(火曜日)四日間
open 12:00−18:00

安部太一さんは初日2日目在廊です。



※会場は撮影禁止となっていますのでご了承下さい。
※会場内は禁煙です。会場住宅地ですので道路などでの喫煙もご遠慮ください。
※作品が繊細です。小さなお子様づれのお客様はくれぐれもご注意下さい。
※乳母車は会場内に入れることが出来ません。
※会場住宅地ですので自転車の置く場所がございません。
公共交通機関 またはお車でお越し下さい。
パーキングは近隣のコインパーキングをご利用下さい。
※12時開場です。あまり早くお越しになり、
みなさんお並びになられると、
近所の方に迷惑がかかりますので、どうぞご理解下さい。


たくさんの注意事項書かせていただいています。
これもみなさまにできるだけゆっくりと安部太一さんの作品の世界を
感じていただきたい気持ちからのお願いです。
どうぞご理解の程よろしくお願いします。















| - | 09:33 | - | - |
BRUTUS 特集 居住空間学2012
 
 


お知らせです。
本日発売のBRUTUS
特集 居住空間学2012 に 森田家も紹介されています。
益子の友だち高山家も紹介されてます。
とても素敵です〜










上門前の家からお知らせです。
安部 太一 陶展 ーsymphony−

場所 上門前の家 森田建築設計事務所

2012年5月5日(土曜日)〜8日(火曜日)四日間

open 12:00−18:00

安部太一さんは初日2日目在廊です。
いよいよ始まります。


| - | 09:31 | - | - |
石の柱を立てる
 
建築の工事が進んでくるにつれ
外構も同時に進んできています。

敷地に沿ってある小道が
緑の中をゆく気持ちの良い小道であるような、
同時に建物の中から見たときにも
庭の一部のように絵になるような塀を考える必要がありました。

建物が庭に向かって開かれているので、
庭の景色が部屋の一部であり、壁となります。


いくつかの案を考えて、閃いたのは・・・





石の柱を立てています。



重機が入れないところなので、
三叉を使って人力だけで立てていきます。
手前の穴にも柱が立ちます。



掘立ての石柱。
コンクリートで十分に根巻きします。





桜の咲くころ、順に柱が立てられていきました。




柱が立ち並びました。
これから、さらに工事が進んでいきます。

どうなっていくのでしょうか、お楽しみに。









| 『 O project 』 | 00:54 | - | - |
庭をつくる
 
最近、朝早くやちょっと手の空いた時間に
庭づくりに夢中です(笑)。

事務所のある上門前の家の庭、
何年も形が決まらず、畑をしたり色々してきたのですが、
ブロック塀の際のほうは日陰で、
結局はドクダミの勢力に
覆われる、ということを繰り返していました。

今年、
ここで健気に育ってきていたバラを
もっときれいに花が見えるように、
もっと伸び伸び育つようにしたいなと、
バラのアーチの制作を決意(笑)。

もう一つの大きなきっかけは
宮川庭園の完くんにもらった、
ガーデナー、ポール・スミザー著のシェードガーデンの本。
そこに『日陰では少しでも地面を上げて、日光に近づくようにするといい』
というくだりがあって、それを読んで
塀の際は石を組んで地面を上げればいいのか!と
閃いたのです。
今までやりようのなかった場所を
どうすればよいのか、これで方向が見えたのでした。







アーチはホームセンターで買ってきた鉄筋を組み、
枝を結んで間をつないでいます。
バラの先生の本の通りやったら、
特別な道具もなしに出来ました(笑)。
今まで行き場なく、しかし一生懸命に伸びようとしていたバラ。
アーチができて、安心して葉を広げ、枝を伸ばしています。

出来がったアーチを見ていてわかったのですが、
アーチは枝や葉が光の当たる上の方に
安定していられるようにしているのですね。

下のほうには光が少なくても
上のほうにはそこよりは光がまわっています。
これも日陰の庭の植栽への
有効な対策の一つになるのかもしれないな・・。






つぼみがついています。
連休頃には咲き始めるでしょうか。

安部さんの展覧会のころバラが咲いているかもしれません。






敷石を立てて土留めにした花壇。
石の向きを変えると高さを変えることもできます。
ここでは3段階、高さを変えています。

土と石と植物が組み合わさると、
どれもがいきいきしてきますね。







土が流れてしまわないように、
また椅子を置いたりできるように、
素焼きのタイルを敷きました。歩くだけなら土決めで
設置しても大丈夫。(車が乗るならばコンクリートの下地が必要です)

目地には家で増えていたグラウンドカバーを移植しました。
先日何度か降った雨のおかげで根付いてきたようです。


庭が使えるようになってくると、
部屋が一つ増えたような感じです。
バラが咲いたら、アーチの下でお茶でも飲もうかと思ってましたけど、
本当にできそうです。楽しみ。

色々な虫たち、野鳥もやってきますし、
植物は毎日表情を変えていきます。
光と風を感じながら、植物や土に触れているのはとても楽しいものです。
日だまりの中、ミツバチの羽音を聞きながら、
植物を触っているひとときはなかなか幸せな体験です。
そしてまた雨降りにもこのおかげでまた植物が育つので
それはそれでまたうれしい。
春の雨のあとには本当にぐんぐんと
伸びていく様子が実感できます。

変化しながら、
双方が関わりながら、場が整い、美しくなっていくのが
とても面白い。庭にはそういう楽しみもあります。

家には庭があると、色々な楽しみが増えますね。
小さくてもいいので、屋外に使える場所があるのは
人にとって、とても大きいことと思います。
部屋を一つ削っても庭があるほうがいいくらいかもしれません。







アトリエ・ハナカリのガーデン。
今はラベンダーとナルコユリが咲いています。
これから、クレマチスや時計草が枝を伸ばして行くので、
誘導のワイヤーをかけました。

庭は家の中と外、
街やみんなの環境もつくります。
みんながそれぞれの場所を庭にしていくと、
家が、街が、世界が、豊かに美しくなっていきますね。


























| - | 11:34 | - | - |
モーニング文化
 
岐阜羽島の駅前で
待ち合わせまでの時間、少し仕事をしようと喫茶店に入って、
ホットコーヒーを頼み、作業しはじめる。

しばらくして、トレーから何やら
バスケットとカップが目の前に置かれる・・。
あれ?
頼んだのはコーヒーだけなのに、
トーストやサラダやデザートの入ったバスケットがある、
一瞬、ドキッとし、
メニューにもなんにも書いてなかったぞ?
とメニューを確かめ、
間違いじゃないかと
一緒に置かれた伝票を見ても
コーヒーとしか書かれていない・・・。

他に頼んでいた人はいないし、
よく見ると周りの人たちの席にも同じバスケットがある・・。

・・・サービス?

・・あ、そうか、
これが話に聞いていた、岐阜の喫茶店のモーニングか!



期せずして体験してしまった、岐阜のモーニング。
噂には聞いていたけど、何なんでしょう、
このサービス精神は・・・すごいな〜。

この辺りから愛知まで
喫茶店ではコーヒーにはいわゆる『モーニング』が必ずついており、
その内容により、お店が選ばれるらしい・・。


待ち合わせにやってきた工務店の社長さんに
その由来を聞いてみました。

何でもこの辺りでは、
もともと繊維業が盛んで家内工業のような形だったため、
近所の人や打ち合わせにやってきた人たちと
ちょっと話すときに近くの喫茶店を使うことが多く、
その際に小腹が空いているから、と
ちょっと食べるものをつけてもらったり、
お店がサービスで出したりしているうちに、それが定着したんだとか。
・・ふうむ、なるほど・・。

岐阜よりもどちらかというと愛知のほうが
モーニングの内容は豪華で、
それを競い合うコンテストなんかもあるそうな。
茶わん蒸し(!)なんかもついてて、
しかしそれはそんなに
珍しいことではないらしい・・・。

しかし、コーヒーの値段だけで(写真のセットは420円也)、
こんなにつけて、経営としてどうなんですか?と訊くと、
う〜ん、テナントとして借りてるようなところは大変なんでしょうけど、
自分ちが店だと大丈夫なんじゃないかな、
原価の高いものでもないし、
というお答え。

そうか〜。と一応は納得。
成り立ちを聞いたの初めてだったので。
でもこれは産業や
そこから生まれた生活の在り方だけが
モーニング文化の生まれてきた理由ではないような気がします。

もっとその土地に根差した地域性というか
風土に育まれた県民性のようなものが
根底にはあるなあと。

一言では言えませんが・・・。

たとえば、愛知には
美味しいお菓子を作っている会社が割合あるのですけど、
そのルーツには、その地域がお茶の産地で、
お茶と一緒に食すお茶菓子文化も一緒に育ってきた、ということ
なんかが背景にあるそうです。

そういう食べ方の伝統なんかも根底にあるような気がします。
そして、それが可能な豊かな土地だったということも言えますね。
広くて十分に命を養ってくれる土地に抱かれているような感覚が
ここの風景にはあります。



京都だと、
コーヒーってもうちょっとストイックに楽しむ雰囲気がある気がします。
その背景には、ものすごく手短に言えば
伝統的に学問や芸術の場ということもあるのでしょうが、
そうした志向を育んできた根底には
盆地で山に囲まれ、
夏冬の不快さを物理的工夫と精神性で乗り越えていく、という
風土から与えられた方向付けもあったように思います。

そういうことが
今、目の前にある一杯のコーヒーを供す形にも
繋がっていると思うと、面白いですね。






















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