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つくだ農園 野庵クラウドファンディング

 

                   ↑野庵完成時の姿

 

現在工事進行中の

京都大原のつくだ農園さんの新しい作業場 野庵 を応援する

クラウドファンディングが

開催されています。(〜10月31日午後11時まで)

 

⇒ 野庵クラウドファンディング

 

大原小出石に残る茅葺古民家を改修及び増築して

つくだ農園さんの取り組む有機農業の新たな拠点とするプロジェクトです。

作業場だけではなく、販売所や農作物の加工厨房、

そして農業塾の座学や作業にも使われる、

多くの人に開かれた場となる予定です。(来春オープン予定)

 

上記のウェブページでは

つくだ農園さんの就農からここまでの経緯や有機農業への熱い想いが

ご自身の言葉で綴られていて

読み物としても面白くとても興味深い内容です。

 

私はこの古民家の改修前の様子と設計の際に考えたことを

クラウドファンディングに向けて下記の文章にまとめました。
 

 【つくだ農園野庵について】

 大原小出石町の北橋のたもと、道より高野川側の一段低い敷地に建つ、

詳年不明ながら築100年以上のこじんまりした板金覆い茅葺屋根の母屋に

昭和30年代の増築部が繋がった古民家、

が初めて出会ったときの野庵の姿でした。

 

 個室やガス水道対応のキッチン、浴室、トイレの確保設置といった

近代的生活に対応する為の改修増築は、前近代的な母屋を犠牲に

しがちだったようで、積雪や大雨に不適な長い水平の谷を屋根に造ったり、

間取り優先で母屋の構造上大切な隅柱などを撤去したり、

といった矛盾や問題を様々生み出していました。 

 まるでこの家ができて以来の社会や意識の変化とその矛盾や問題を

そのまま映し出しているかのように。 

 例えば、茅葺屋根は本来その近場で採集できるススキや葦などの草で、

村の相互扶助であるユイと職人によって葺かれ、

屋根から降ろした後は堆肥として利用される循環の中にありましたが、

それが次第に機能しなくなり、防火上の法規制等もあって、

減少していきました。

一方で、ここのように板金で覆われた茅葺は

かつての循環の中にはありませんが、

その形姿は集落の景観を形作る大切な要素であり、

かつての循環を記憶として現在と未来へ繋げてもいます。

 

こうした矛盾や問題点と可能性が様々に混在するこの古民家を

つくだ農園さんの作業場とするという観点から、

打ち合わせを重ね、整理してまとめたのがこの改修計画です。

 主用途の作業場と販売所と加工厨房は、

作業的に水洗い可能な土間が主体で相互の機能的関連性と、

道から一段下がって、

雨や雪など水や湿気の溜まりやすくなる敷地状況を踏まえ、

簡単な工事ではありませんが、母家躯体を一度ジャッキアップして

母屋と増築部全体に連続する基礎を設けて構造的に一体とし、

同時に地面からの湿気も防ぎます。 

また一段下がる敷地形状を生かして、

茅葺部と増築部の屋根架構を整合性のある屋根形状とします。 

通風や敷地周辺への眺望をあらためて場所との新しいつながりをつくり、

茅葺屋根下の煤竹は再利用し、外壁は作業場らしく粗い板張りにするなど、

かつての部分と新しい部分が組み合わさって新しい調和を生むように。

ここでの農業塾や販売所を訪れる人々や出荷される農産物や加工品を通して、

つくだ農園さんが有機農業を社会の中で循環させ、

今から未来へと繋げていく為の場として、改修していきます。

 

 

皆様にこのプロジェクトについて少しでもご理解や共感を持っていただき、

このクラウドファンディングへの一助につながれば幸いです。

 

 

⇒ 野庵クラウドファンディング

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| - | 15:37 | - | - |
物集女の小舎 Ottè  1

 

現在、現場が進行中。

完成目前の物集女のOttè さん。

 

 

オーナーの曽祖父様が

90年前に建てられた小舎を改修しています。

元々、氏神様の神社境内の檜が伐採された時に

その材を譲り受けて建てられたものだとか。

 

長らく納屋として使われてきたのを

今回見直してみると、

粗土壁やこじんまりとした空間の

生み出す親密な雰囲気にとても可能性が感じられ・・・

 

オーナーが10年前からこの小舎の傍らに自ら窯を築いて

焼いてきたPIZZAとスウィーツなどを出すcaffèとして

生まれ変わることになりました。

 

上の写真、

手前の古レンガ腰壁のスペースは

新たな石焼窯が設置されるPIZZA厨房です。

 

 

 

内部厨房。

漆喰塗のアーチと古材腰板+天板のカウンターで区切られています。

中央にはイタリア産大理石がはめられます。

 

 

奥の客席スペース。

新しく設置したコーナーのアーチ窓。

その外には畑と城跡があります。

コーナーには人研ぎの天板を設置、

下部のニッチには鉄格子を嵌めてACを設置しました。

壁は薄く色を付けた漆喰塗。

 

土間のサークル状のモザイクは

ここにあったピザ窯の耐火煉瓦を元の窯のサイズで

オーナー自ら配置を決めて敷き並べたもの。

彼とピザ作りの出逢いとその純粋な喜びへの

変わらぬ祝福。

 

 

元の窯は改修に合わせて解体されましたが、

新たな窯が再びオーナーの手によって

これから造られます。

 

 

古足場板を野地板に使って改修した高天井

から吊り下げられた照明は

上下のリングの間を

透明とすりガラスのバーが交互に並べられたシェードの

アンティーク照明。

シンプルな構成ながら

2種のガラスとその隙間を透過する光の多彩な様が見えて

この場に相応しいものでした。

(器具はARUSE KYOTOさんより)

 

どこか祈りの空間を思わせるような場になりました。

PIZZAやcaffèを通してイタリアを愛するオーナー夫妻の

想いに耳を傾けつつ、

室内への光や眺めを想ってコーナーに開口を構想するうちに

自然に導かれるようにするすると生まれてきました。

 

この場の構想を導いたなにかを

言葉にすると色々出てきそうなのですが、

それはここに来られて

食事を頂かれたときには

きっと伝わっていることのような気がします。

 

 

 

もう少しで工事は一段落します。

窯の完成を待ってお店はオープンする予定です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| - | 18:46 | - | - |
現場報告(蔦町の家 8)+ 近況報告

 

久しぶりの更新です。

1年前にHP調整中のお知らせをして以来、

その前の書きかけの現場報告(蔦町の家:気功協会)が

このブログ上では竣工しないままでもう2年が過ぎてしまいました。

インスタグラムではその時々の現場報告など随時行っているので、

最新の状況はそちらを見ていただければと思います。

インスタグラム moritaaot

(HPのトップページにもリンクがあります)

 

 

その間に

いくつか物件が竣工しました。

 

岐阜養老のお米農家さんのお住まい:大場の家、

 

京都市内町家改修・料理アトリエ+イベントスペース(+お住まい)

:円卓 さん >昨年オープン、活躍中!

 

大原古民家改修・カフェ(+お住まい)

:Somushi Ohara 素夢子大原 さん >近日オープン!

 

草津市店舗・中国茶と点心のお店:光ル茶崙 さん >今年6/21オープン!

 

という感じです。

お店はぜひまた行ってみていただけたら幸いです!

 

今は

お店の工事(物集女の小舎(仮称):窯焼ピザのお店)と

農家さんの作業場(つくだ農園さん 野庵)の計画など

が進行中です。

 

今後、こちらで報告できていないものも

可能な限り上げていこうと思っています。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

前置きが長くなりましたが、

蔦町の家 現場報告、いよいよ最終回です。

 

板金工事や内部工事が進む中、

既存のブロック塀補強工事を行いました。

古いブロック塀は敷地内の建物が新築や改築などで確認申請を受けると

現行基準にあった補強が必要になります。(適合していれば不要です)

隣地の方との話し合いなどが必要になりますが

地震の際に安心できる状態にはなります。

 

  

 

ここでは既存ブロックを貫通する座付きボルトを設置し、

新しい控え壁の配筋と既存ブロック塀が一体化するようにしました。

 

 新設控え壁設置完了

 

引き続き、

元の玄関前に合った大きな敷石を再設置しました。

 

 

一段上がるのでそれに合わせて設置高さ調整。

 

といった作業などなどを経て、

いよいよ竣工、

完了検査及び引き渡しの9/23を迎えました。

 

この日は施主の天野先生純子さんご夫妻にとって

とても縁深い大切な日でした。間に合ってよかったです。

 

 

外部アプローチ 

この後、植栽などが施され、今は趣ある佇まいです

 

 

 

玄関軒下

既存の敷石と既存の玄関建具を再利用しました。

雨の日もゆったり家に入れるように深い軒です。

 

 

 

玄関

玄関から道場へは縁なし畳で広々と

式台は既存の古材を再利用

正面の窓外にはその後風情ある庭が出来上がっています。

 

 

 

松竹梅の板戸を納めた玄関

松と梅の透かし彫りに竹の押さえ縁で

めでたし(ご縁あって出逢った古建具です)

玄関引き違い戸の後ろには網戸を設置して

風が通せるようにしてあります。

 

 

 

道場

畳も清々しく広々した道場 床暖房も入って冬も快適に

開口高さは隣地塀の天端より上が見えない高さとし、

またそのことで視線を誘導して

自然に座れるようにしたピクチャーウィンドウ

庭が出来上がって完成します(今は風情ある庭が出来ています)

 

 

 

階段

緩やかな勾配で軽快に昇り降りできるように

段板を透かして軽やかな印象の木階段

 

 

 

2階洗面

掃き出し窓内側の筬格子戸で目線を遮りつつ風を通します。

木製カウンターに落とし込み陶製シンク

 

 

 

方杖が支える庭側軒庇

板庇で室内からのつながりを感じさせるような仕上がり

玄関庇も同じように黒い小波板の外壁に内側の木の仕上げが見えるように

なっています。 将来は濡れ縁が付く予定

 

 

 

みんなで記念撮影

今回もまた櫛谷建築さんには

大変急ぎつつもとても丁寧で熱のこもった仕事をしていただきました

ありがとうございました。

 

 

 

天野先生と純子さん

大変お待たせいたしました。

改修の予定から思わぬ変更となりましたが、結果的には

必要なものだけが形になったような気がいたします。

ありがとうございました。

 

そして、ここは今、気功協会の道場として

日々活き活きと活動の場となっています。

興味のある方はぜひ下記から、

気功協会の活動に参加なさってください。

 

NPO法人気功協会 気功のひろば 

 

 

 前回 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 『 蔦町の家 』 | 18:33 | - | - |
HP修理中のお知らせ

 

森田建築設計事務所のHPについてのお知らせです。

 

現在、HP内問い合わせフォームに不具合が発生しており、

そこからメール送信していただいても

うまく受け取れない状態になっています。

その部分を復旧中です。

予定では10/3には修理完了の予定ですが

それまでにもしお急ぎのご連絡ある方がいらっしゃいましたら

事務所のFAXへ連絡先とご用件を書いてお送りください。

こちらからあらためて連絡させていただきます。

 

ご迷惑をおかけして申し訳ございませんが

よろしくお願いいたします。

 

2021.9.30

 

森田建築設計事務所

森田 徹

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| - | 10:02 | - | - |
現場報告(蔦町の家 7)

 

前回の投稿から

1か月半くらい経ち、

子供たちも新しい環境と生活に慣れてきました。

新しいお友達も出来て新たな生活を楽しんでいます。

 

この間に

大原での新たな現場の地鎮祭などもありました。

(※オンタイムでの報告は

基本インスタグラムにアップしていますので

またそちらもご覧になってみてください。)

 

・・・・・・・・・・・・

 

蔦町の家からの現場報告は

去年の8月末頃に戻ります。

 

とても暑い盛りでしたが

現場では

外部の板金工事と

内部の造作工事が進んでいました。

 

 

外壁に施工中。

 

 

ガルバリウム鋼板小波板の凹凸が

外壁通気層になります。

 

 

張り上がると

簡素ながらシンプルで潔い表情。

丸い波が柔らかい印象も与えます。

 

外壁は

軒裏まで小波板通気層が確保されていて・・

 

 

片流れ屋根の

下側軒裏には通気口を設置。

ここから屋根内断熱材の上を通気が流れ・・・

 

 

片流れ屋根の

最高部である棟から

棟換気金物の穴を通って

空気が抜けていきます。

 

 

夏場の熱気が

屋根の中にこもることを防ぎます。

 

 

暑い中ですが、

ここでの板金作業は

外でしかできないので大変!ご苦労様でした。

 

玄関庇も葺き終わり、

外壁板金が張り上がってきた玄関、

内が外にあらわれてつながるところ。

 

 

一方、

内部では

造作工事が各所で進んでいます。

 

 

2階の中央大黒柱前。

大黒柱の大きさがよくわかります。

 

 

2階北側の

洗面室の造作工事中。

洗面カウンターと洗濯機収納が一体に。

設備配管も含めて、

造作によって諸々が整理+配置されていきます。

 

1階も

造作工事進行中。

 

 

道場の天井が張り上がりました。

そこで書棚の制作中。

 

庭の隅によけておいた元の敷石。

 

 

今度もまた

新しくなった玄関前で使う予定です。

 

9月の後半に

予定されている竣工引き渡し期限に向けて

内外で工事が進んでいきます。

 

 

現場の皆さまよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

(つづく) 

 

 

 

前回 < > 次回

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 『 蔦町の家 』 | 19:50 | - | - |
現場報告(蔦町の家 6)

 

今日(正確には昨日)、

4/8は息子の小学校の入学式でした。

また新たな扉が開いて進んでいく、

ピカピカの子供たちの姿を見るのは

とてもうれしくて、応援しているよ!

という気持ちになりました。

明日から、新しい生活が始まります。

 

・・・・・・・・・・・

 

さて、

蔦町の家からの現場報告は

去年の8月に戻ります。

 

 

現場の作業が進んで造作に入る前、

古建具を色々探していました。

 

玄関建具は

元の家の玄関引き違い格子戸を

 

 

再び使うことにしていたのですが、

そのほかの内部建具にも古建具を使います。

 

 

大体一度探しに行っただけでは、

ぴったりのもの全ては揃いません。

何度か探しに行くうちに

相応しいものが決まってくるのですが、

不思議なことに

大抵そこに相応しい建具がなぜか現れてきます。

 

今回もそう感じられる建具がほぼほぼ揃ってきたかな、

という頃合いで最終決定するために

天野先生ご夫妻にも一緒に見に行っていただきました。

 

お二人もネットで熱心に探されていました。が、

実物を見られる方が

やはり感じられるものはたくさんあります。

 

 

この透かし彫りの松と梅に

竹の押さえの入った、

松竹梅の寿(ことぶき)な建具は

その際にひょっこり現れたもので、

やはり引き合う何かがあったのでしょう。

天野先生も一目で気に入り、

ぜひ使いたいとなって、

玄関収納の建具に使うことになりました。

他にも色々、相応しい建具が決まってよかったです。

 

また、現場では

前の家の造作に使われていた古材板を

どこにどのように使うかを

お二人と一緒に検討して決めました。

 

 

結果的には

適材適所で使うことができたと思います。

 

 

内部のボード張りも進んでいます。

 

 

2階洗面室辺り。

断熱材仕込み終わってこれからボード張りへ。

 

外部板金仕上げの施工も始まりました。

 

 

こちらは下屋庇の屋根。

ガルバリウム鋼板の小波板葺き。

 

 

その上部の方は

2階リビングの南側ハイサイドライト。

 

下屋庇の下は・・・

 

 

引き込み窓の敷鴨居が出来上がっています。

 

 

玄関庇にも

板金屋根が葺かれてきました。

 

暑い中、

外部の板金仕上げが進んでいきます。

よろしくお願いいたします!

 

 

 

 

 

 

 

 

 < 前回    つづく>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

| 『 蔦町の家 』 | 00:38 | - | - |
現場報告(蔦町の家 5)

 

今年は

桜の咲き始めが早かったような気がします。

 

 

賀茂川は5分咲きか6分咲きといった感じ。

 

 

もうこうなると出かけずにはいられませんね。。。

 

 

室内から外へ。 

本来、

花見は花の下に入って

その精を浴びる無病息災の行為だったとか。

たとえ科学的といえなくても、

体感的には納得できるものがあります。

 

この内側から「はる(張る)」季節、

「ふゆ(増ゆ・殖ゆ)」のあいだ

つぼみとして中で膨らんできたものが

外に向かってついに花として開いた、この動きに

私たちがいのちとして同調するのはとても自然なこと。

同じ季節の経過と変化を

私たちも内側で経てきて、

それがマックスになったこの季節に

花として開いてくれた桜の下に行って、

内側での目に見えない変化を

外側での目に見える変化として体験することで

季節の中でのいのちの大きな変化を感じ確認することは

とても自然な「無病息災」につながる行為だったと感じます。

私たちはそんな風に

桜と、

そして季節と関わりあっている。

つながっている一つのいのちとして

それぞれ存在していることを確認できることが、

花見という行為の中にもあるようです。

 

・・・・・・・・・・・・・

 

前置きが長くなりましたが・・。

建築を造るという行為は

「関わり合いを(目に見える形として)つくる」

ということもできると思うのです。

そもそも

素材同士、部材同士が関わりあって

建築自体が成り立っていますが、

そうして出来上がったものは、

色々な意味で世界との関わりあいを

方向付けます。

(=どのように関わりあうかという意思が姿かたちになる、

とも言えます)

 

蔦町の家でのそのような部分から

わかりやすいところを紹介してみたいと思います。

 

家の外観です。

左側が南面。右正面が東側です。

旗竿敷地なので周囲を家に囲まれ、

実際にはこんな風には見えてきませんが・・

 

 

南側隣地には

3階建てのマンションがあってその共用通路に面しています。

ここからの目線が前の家ではとても気になったようで、

境の塀に高い樹脂竹のフェンスを設置していました。(  )

そこで今回は、

2階には南側正面に開いた開口部を

目線に絡む高さにはほとんど設置しませんでした。

(外観パースにはないですが

キッチン前には小さな窓を設けています)

空を仰ぐハイサイドライトがメインの開口になっています。

 

1階には

庭に面して大きな開口部を設けていますが、

高さを抑えて、

庭だけが見えて隣家が目に入ってこないようにしてあります。

これで以前のような高い樹脂竹フェンスも不要になり、

無意識に隣家の目線を感じることもなくなって

気持ちが解放されます。

 

 

1階南東角の開口部。

座って作業をしている様子から

その開口高さがうかがえると思います。

 

こちらは同じ南面で西寄りの開口部・・

 

 

ちょうど玄関の正面で

ここでも庭だけが見えてきます。

訪れた人は正面の庭を目にして、

落ち着いた気持になるでしょう。

道からの長いアプローチを経ると、

そこに静かで心地よい場所がある・・。

 

これらの開口には

前回紹介した庇が付いています。

 

 

庇が内と外の中間ゾーンをつくり、

庭と室内の関わりあいを生み出します。

室内への強い日差しを遮り、

雨降りでも窓を開けておくことができて、

庭の存在が近くなります。

窓は全部引き込んで隠れるようにしてあります。

 

庇が生み出す関わりあいは、

ここでは玄関庇も大きな役割を果たします。

 

 

パースのように玄関庇は

腕木で持ち出して奥行き1200mmほどの

たっぷりとした深さをもたせてあります。

例えば雨降りの時には

そこで傘をさしたり閉じたりするのに十分なスペースがありますし、

訪れたときに

そこでちょっと気持ちを切り替えられる場所にもなりそうです・・・

人をそんな風にゆったりと迎える庇は、

ここに住まいする人の想いも伝えます。

 

その庇が出来つつあります。

 

 

腕木と出桁の上は垂木無し、

厚板野地板のみですっきりと、簡素に。

 

 

腕木の鼻先は曲線で柔らかな印象に、

入ってくる人への当たりを穏やかに、

そして白木で清々と。

 

 

伝統的なスタイルそのままではないですが

どこか社寺の庇のような造り は 

長く受け継がれてきた伝統の智慧を基底にしながら、

新旧問わず本質的な体へのはたらきかけを

気功とよんでまとめながら人々へ伝えている気功協会の姿勢も

表せるのではないかなと考えながら、形をまとめました。

その入口にふさわしいとも想って。

そしてまた、

現代の宮大工集団である櫛谷建築が

その施工をするのもとても相応しい。

この庇にはそうした諸々の関わり合いが含まれています。

 

この庇が出来上がってきたのが

ちょうど7月の末、

8月を目前にした頃でした。

 

 

 

←前回    次回→ 

 

 

 

 

(つづく)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 『 蔦町の家 』 | 19:15 | - | - |
現場報告(蔦町の家 4)

 

少しずつ

暖かくなってきた3月、

いよいよ大詰めで竣工を控えた現場や

進行している現場のある一方で、

設計作業を進めているプロジェクトもあって、

春に一気に草花や虫たちが姿を現すように、

これからいろいろな建築たちが

それぞれの段階で姿を現してくる気配に満ちた

今日この頃です。

 

・・・・・・・・・・・

現場報告の方は

棟上げの後、去年の7月頃に戻ります。

 

中心に立つ 7寸角大黒柱

 

 

材が運び込まれ、

柱と梁の接合部には金物が取り付けられて

 

 

これから軸組をしっかりと固めていきます。

同時に屋根も早急に仕上げていきます。

屋根内断熱材は設置完了。

 

 

下葺が終わって

板金で葺きあがるのを待つばかりです。

梅雨時期で天気が続かない頃でした。

 

 

外壁下地に

耐力壁になる面材が張り進められています。

開口部形状も姿を現してきます。

 

 

この頃、

現場で周りの見え方なども実際に確認しつつ、

天野先生にも立ち会っていただいて、

サッシの形状や寸法を調整して

最終決定しました。

 

 

そのような中、

雨の合間をぬって大屋根の

ガルバリウム鋼板縦ハゼ葺き完了。

 

7/7七夕には

無事に中間検査もクリア。

何かと節目に意味ありな日が来る現場です。。。

 

 

2階

壁が立ち上がり、空間が見えてきます。

南側のハイサイドライトは

仰ぎ見る空に向かって開かれています。

 

 

1階の道場コーナー開口部の

壁下地が出来上がってきました。

道場の開口は高さを抑え、

隣家は隠れて

庭だけが見えてくるようにしてあります。

これは既存の改修計画のときから決めていた

周囲とのかかわり方。

 

その外側では

庇が出来上がりつつありました・・

 

 

厚板と腕木と桁に方杖で構成。

 

 

南と東半ばまでの二辺をぐるりと覆います。

 

 

直線の庇が端から端まで延びるさまは

どこか気持ちよく、心弾む光景。

 

内と外のかかわりあいが生まれてきます。

 

 

設備関係の工事も進んでいきます。

 

 

2階にユニットバスが搬入、設置されました。

奥の方ではトイレになる部分のサッシが設置。

 

 

2階洗面室のサッシも設置されました。

ここは南北を結ぶ通風の為に

引込の掃き出し窓で大きく開口を確保しています。

水廻りなので

光もたくさん入るほうが気持ちいいでしょう。

 

 

1階玄関

上に2階の水廻りがあり、

1階に道場のトイレなどもあって

設備配管が集中してきます。

 

人でいえば

骨格や内臓にあたるような部分

の工事が進んでいきます。

 

 

 

 

 

 

(つづく)

 

 

 前回← →次回

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 『 蔦町の家 』 | 22:12 | - | - |
古レンガとピザ窯と古い納屋

 

古い納屋を改装して

楽しい場所に改修する計画を進めています。

薪のピザ窯のあるピッツェリア。

 

 

こんな感じ。

下屋庇の下に

古レンガを積んで窯のスペースを造ります。

古レンガには穴あけ加工をして鉄筋を通す補強積みで

木造部とは構造的には切り離します。

 

 

現場にサンプルを持ち込んで検討。

イギリスから渡ってきた古レンガ。

 

 

こんな感じの古い納屋。

築90年近くになる、ご縁と由緒ある建築。

近くの神社境内から木が切りだされたのを

祖父様が譲り受けて普請したそうです。

 

 

内部は粗壁の土壁に

丸太と面皮柱の柱梁組で

なんともいえぬ素朴で落ち着いた風情があります。

 

この納屋の横には

お施主さんの手になる薪のピザ窯が既にあり、

もう数年ピザを焼いてきて、

沢山の友人知人に振舞われてきました。

僕も頂きましたがBUONO!!

そんなイタリア愛とピザ愛とピザ窯愛とが高じて

今回の計画に至りました。

 

長らく納屋として使われてきたこの場所が

経年の内に生み出した雰囲気と

その由緒にこめられた密やかな使命を

今これから、

全うしようとしているのかもしれません。

愛に満たされて。 

 

 

 

 

 

・・今日はまた、

別の場所での楽しい計画が

節目を迎えた日でもありました。

そちらもまた折を見て報告していきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(つづく) 

 

 

 

 

>次回

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 『 物集女の小舎 』 | 19:42 | - | - |
現場報告(蔦町の家 3)

 

今週は

以前から進めていた

大原で古い平家を改修するプロジェクト

のかたちがまとまって、

竣工目標も決まり、次のフェーズに進んで

実施に向けて作業を進行していきます。

そこは

とても眺めも良く、気持ちの良い場所で

小さなカフェもできます。

またこちらでも進行をお知らせしていきます。

 

・・・・・・・・・・・・・

 

さて、

蔦町の家の現場報告は

去年の6月16日に戻ります。

 

翌日から始まる建て方に向けて・・・

 

 

組まれた足場にシートがかけられて

旗のように風に揺れています。

現場の準備は万全のようです。

 

その2日後、

土台伏せが終わって今日から柱が立ち上がる日、

午前中から雨が降ってきました。

現場に様子を尋ねると、

大丈夫ですとの親方の答え。

午後から現場に様子を見に行くと・・

 

 

雨の中にもかかわらず、

早くも

無事に通し柱と2階の床まで・・

 

 

立ち上がっています!

 

田の字中央には

7寸角通しの大黒柱が立ちます。

 

 

1階床合板を

仮止めして床を先に組み、

 

 

足場を確保し、

八人がかりで作業して

作業効率を高めたとのこと。

その床も雨対策のビニル養生がされています。

 

 

・・にしても

予想以上に早くきれいに進んだ印象。

さすが櫛谷建築さん。

 

 

田の字各交点に立ち上がった

5寸角通し柱、

今日はその上に

屋根代わりのブルーシートを掛けて

明日に備えます。

風にはためく青い天幕と

フラットな床から立ち上がるヒノキの柱に

とても自由で軽やかな建築

を感じました。

 

 

翌日は・・

 

その上に小屋梁が架かって

大屋根の垂木が流されました。

 

 

階段室からの見上げ。

 

2階大屋根は

1枚の南から北への片流れ屋根です。

 

 

南側の地廻り上は

ハイサイドライトになります。

 

 

早い箇所では

屋根内の断熱材が設置され始めています。

この日もてきぱきと作業は順調に進んだ様子。

 

心配された天候も無事クリアできて

 

 

現場を確認に来られた

天野先生も安心された様子。

いよいよ明日は上棟式です。

 

 

迎えた翌20日、晴れて上棟式。

 

 

ブルーシート天幕を外し

天空の青を屋根にして・・

 

気功協会の理事面々も集まって

式の準備を進めます。

 

 

大黒柱の前に組まれた祭壇

 

 

棟札も晴れ晴れしく

 

上棟式も地鎮祭と同じく

施主の天野先生自らの先導で

天野家、気功協会の理事面々、

そして施工の櫛谷建築さんと設計の私と

みなでこころあわせて式が進んでいきます。

 

 

四方祓いで通しの各柱に

お清めのお酒とお塩をまく先生と純子さん

 

お二人が

真中の大黒柱の周りを巡る姿に

国生み神話の光景が重なりました。

祈りがあって

新しい時代に向けた

新しい場が生まれてくることはいつも

その相似なのかもしれません。

もしくは

そこに共鳴するのかもしれません。

 

そして・・・

 

 

櫛谷建築の親方と橋爪さん、

太田垣さんの三人での

棟をかけやで打ち込む槌打ちの儀

 

 

『千歳棟 万歳棟 永永棟』

の掛け声に皆が唱和し、

それに呼応して

木槌で打ち固める音が

空に響いて

家がまたしっかりと締め固まった感がありました。

 

このあと

丹羽さんの五十鈴と寿々歌が奉納されました。

皆の内なる祈りをうたにして

天へと繋いだかのようでした。

 

そして、

皆さんからの心づくしの直会に

この場づくりが

無事全うされたさまとその熱を

予め感じるようでした。

 

この日は

天野家の娘さんで年女の蓮ちゃんのお誕生日でもあり、

先生方の師のお一人である劉漢文先生のご命日でもあり、

一粒万倍日、天赦日という吉日。

その日にまたぴたりと

無事に上棟式を迎えられたことに

運命的なものを感じました。

 

 

余談ながら、今日

このブログを書いている日がまた

国造りの記念日 ということも

何か偶然以上のものがある?

・・のかもしれません。

 

 

 

 

現場は

竣工へ向けてさらに進んでいきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(つづく)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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